『地域をプロデュースする仕事』(玉沖 仁美 著)

『地域をプロデュースする仕事』

『地域をプロデュースする仕事』(玉沖 仁美 著) 

著者:玉沖 仁美
出版社:英治出版
発行:2012/10
定価:1,785円


【目次】
 1.地域振興の課題と地域プロデューサーの役割
 2.大失敗を超えて生まれたヒット商品
 3.全国23の半島行脚で知った地域の底力
 4.柔軟な方向転換で成果を生む
 5.ヨソ者だからできること
 6.任せて育てる人づくり
 7.座学と実践で磨く産品開発
 8.地域をプロデュースする「姿勢」と「スキル」
 終.幼稚園とリクルートで学んだこと

  • ■地域から日本を元気にしたい

     20年以上にわたりさまざまな地域振興のプロジェクトに関わってきた著者は、日本の各地域にはまだまだ新しい「産業の種」があることに気づき、「それぞれの地域がその土地ならではのモノづくりによって元気になれば、日本の未来は希望に満ちたものになる」と確信している。
     本書では、そのような確信をもつまでの数多くの著者自身の体験が具体的に語られている。地域プロジェクトで効率的に結果を出し、同様の失敗が繰り返されないよう、メディアで紹介されるまちおこしの「美談」とはかけ離れた、一歩踏み込んだ内側や取り組み全体の経緯、人知れない苦労や長い間の地味な努力の積み重ねなどが、余すところなく紹介されている。
     また、成功のカギを握る「地域プロデューサー」という役割について、「チームをつくる」「地元の人を主役にする」「事務局機能をつくる」という3つの観点から整理し、理想とする地域プロデューサー像を明確にしている。

  • ■地域プロデューサーに求められるものとは

     地域振興というテーマは奥が深く、また多くの可能性を秘めている。地域のプロジェクトは国や自治体などの行政、地域住民、さらにコンサルタントや有識者など関係者が多く、それぞれの目的や関心、取り組みへの温度差がある。また、企業と異なり、組織構造や意思決定のルールもあいまいになりがちである。悪くするとお互いが模様眺めし、期間内に報告書などをまとめることだけが目標になったりもする一方、異質で多様な関係者がうまく結び付き、どこかでスイッチが入ると、驚くほど素晴らしい成果が生まれることもある。
     このような特性を踏まえ、関係者全員にプラスの成果を生み出すためのカギを握るのが、地域プロデューサーである。魔法の成功法則は無い。一つひとつ異なるプロジェクトごとに、状況に応じて進めていくしかない。地域プロデューサーがまず持つべきものは基本的な「姿勢」である。専門的な知識や経験、個別のスキルはこの姿勢ができてこそ成果を出すことができる。

  • ◎著者プロフィール

    株式会社紡(つむぎ)代表取締役。1988年にリクルート入社。就職情報誌事業部を経て地域活性部にて、日本各地のモノづくり・観光事業・人材育成事業等、地域コンサル事業に携わる。初代沖縄支局長を経て沖縄県に出向し、沖縄県キャリアセンターの立ち上げに従事。リクルートに戻り、じゃらんリサーチセンター初代センター長に。独立後は、地域産品開発をテーマとした人材育成事業、地域資源を活かした地域産品や観光事業の開発を手掛ける。内閣府、総務省、農林水産省、経済産業省ほか、地方自治体の委員を多数務める。