寒中お見舞い申し上げます ―体を温めて心身の養生へ―
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華井弘子
エキスパート倶楽部 ゼネラルマネージャー
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一年で最も寒い大寒の到来と共に、オミクロン感染が急拡大しています。風邪に気を付ける時期でもあり、体調管理にはしっかり備えたいと思います。風邪予防には、バランスよい食事の摂取は重要ですが、体を温めてくれる旬の食材などと一緒に、この時期ならではのお薦めが日本酒の「燗酒」です。
KK2食と文化講座では、2016年「酒どころ福島のお酒をお燗で楽しむ~あなたも「お燗名人」になろう~」を開催し、「燗酒」を美味しく飲むための研究を重ねてこられた、会津の末廣酒造・新城猪之吉社長から「燗酒」をテーマにお話を伺いました。日本酒を温めると、酸味が柔らかくなり、スッキリした味わいに変わり、食事をおいしく引き立ててくれる食中酒であると、おっしゃっています。業界でも、「全国燗酒コンテスト」を開催し、温めておいしい日本酒の啓蒙をしています。昨今は冷酒やスパークリング、又ワイングラスで飲むタイプなど、様々な日本酒が増える中「上質な大吟醸酒は燗をしない」と思われる方もあり、燗酒の温度による味の違いについては意外と知られていません。
 2015年に開催した「初心者のための日本酒の楽しみ方」(講師:新城猪之吉氏)
末廣酒造の燗酒ストーリーで紹介されていますが、江戸時代に84歳まで精力的に活動された儒学者、貝原益軒の「養生訓」にも、温かいお酒は体にやさしい旨が記されているようです。1712年に書かれた自身の健康法を記した人気本で、現代でも訳され愛読されています。燗酒は先人の暮らしの知恵から生まれた日本酒の文化だと思います。
家飲みが続きますが、寒い今の時期こそ、ひと手間かけながら、日本酒本来の伝統的な味わい方で食事を楽しみ、心身ともに温まり、健康にも役立てば幸いです。今年度は食と文化講座をオンラインで開催しました。次年度の開催に向けて現在計画中です。今後ともよろしくお願いいたします。
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