『粘菌 偉大なる単細胞が人類を救う』
著 者:中垣 俊之
出版社:文藝春秋(文春新書)
発 行:2014/10
定 価:730円(税別)
出版社:文藝春秋(文春新書)
発 行:2014/10
定 価:730円(税別)
【目次】
1.イグ・ノーベル賞顛末記
2.粘菌の知 ヒトの知
3.ヒトもアメーバも自然現象
4.粘菌のためらい――科学と文学のあいだ
5.不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ
6.ヒトは粘菌に学べ
1.イグ・ノーベル賞顛末記
2.粘菌の知 ヒトの知
3.ヒトもアメーバも自然現象
4.粘菌のためらい――科学と文学のあいだ
5.不安定性から読み解く秩序づくりのしくみ
6.ヒトは粘菌に学べ





著者は2000年、英国の科学雑誌『ネイチャー』に、粘菌には迷路の最短距離を見つける能力がある、という趣旨の論文を発表した。粘菌は2ヵ所にエサがあると、それぞれに体を寄せて、間を太い管でつなぐ習性がある。そこで粘菌が迷路のすべての通路にアメーバ状になって行きわたった状態にし、入口と出口にエサを置いた。すると入口と出口をつなぐいくつかの経路のうち、最短のものを残して管が消滅したのだ。粘菌の迷路解きである。
粘菌のネットワーク形成アルゴリズムでは、まず「これは使わないだろう」という細々した道路をすばやく消去して、大まかな地図をつくるところから始める。現行のカーナビシステムでは、すべての可能性を一つずつ当たっていく方法が取られるが、粘菌の場合は、だいたいこのくらいだろうという“8割がた”の大雑把な経路をすばやく見つけるのだ。
この、細かいところには目をつぶって大まかな全体図を見るというのは、人間による物事の理解や発想、伝達に際して、とても重要な意味を持つ。本当のプロが持つ「大局観」も、実は粘菌の問題解決法に通じるものなのである。