『ぼくの命は言葉とともにある』
著 者:福島 智
出版社:致知出版社
発 行:2015/05
定 価:1,600円(税別)
出版社:致知出版社
発 行:2015/05
定 価:1,600円(税別)
【目次】
プロローグ 「盲ろう」の世界を生きるということ
1.静かなる戦場で
2.人間は自分たちが思っているほど強い存在ではない
3.今この一瞬も戦闘状態、私の人生を支える命ある言葉
4.生きる力と勇気の多くを、読書が与えてくれた
5.再生を支えてくれた家族と友と、永遠なるものと
6.盲ろう者の視点で考える幸福の姿
プロローグ 「盲ろう」の世界を生きるということ
1.静かなる戦場で
2.人間は自分たちが思っているほど強い存在ではない
3.今この一瞬も戦闘状態、私の人生を支える命ある言葉
4.生きる力と勇気の多くを、読書が与えてくれた
5.再生を支えてくれた家族と友と、永遠なるものと
6.盲ろう者の視点で考える幸福の姿





著者が盲ろう者となったばかりのある日、母親の機転で同教授は強力なコミュニケーション手段を獲得する。「指点字」だ。これは、盲ろう者の両手の甲を点字タイプライターに見立て、その上を指でタイプするように叩くというものだ。指点字は後に広まったが、公になったものとしてはそのときに世界で初めて使われた、と判明した。
当時の高校の仲間たちは皆、指点字を覚えてどんどん話しかけてくれるようになった。コミュニケーションが生まれたことで、暗い牢獄から解き放たれた気持ちになった。だがそれも束の間だった。
そんな頃、クラスメートのI君と盲学校の先輩だったMさん(二人とも全盲)と3人で喫茶店にいたときのことだ。IさんとMさんが口頭で話している内容は、著者には分からない。そこでMさんが指点字で伝える。「M:I君はいつ帰省するの? I:うーんとね。22日に帰ろうと思うんだけどね」
このMさんの「直接話法」は画期的だった。この場合、たいていは「I君は22日に帰省するんだって」というように第三者的な情報として伝えるからだ。このMさんのやり方は、後に指点字通訳の原則として定着することになる。
著者はここで「開かれたコミュニケーション空間」を生み出すことに成功した。哲学者マルティン・ブーバーが著書『我と汝』で説いた「我-なんじ」の関係を築けるようになり、力強く生きていく力を身につけたのである。