「平成27年度AVCC&KK2特別講演会~地方創生、シニアが主役~」

「平成27年度AVCC&KK2特別講演会~地方創生、シニアが主役~」

収録日平成27年6月5日(金)14時~19時15分(受付:13時30分より)

収録時間

アンケート結果
今年度のAVCC、KK2事業は「地方創生、シニアが主役」をテーマに取り上げました。超高齢社会は多くの弱者と共生する社会、弱者が安心して暮らせる明るい社会づくりが日本の大きな課題です。今回の特別講演は、基調講演に辻哲夫氏(元厚生労働省事務次官/東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授)をお招きし、超高齢社会の現状と我が国に求められる社会システムについてご提言をいただきます。またGood Practice発表には、石木幹人氏(岩手県立高田病院 名誉院長/岩手県医療局理事)に登壇いただき、「超高齢社会、先進地域医療の実践」と題し、岩手県気仙地区での高齢者に優しい地域医療の実践と3.11東日本大震災後の地域医療再生についてお話しいただきます。元気な高齢者が地域活動に積極的に参加する社会の実現が「地方創生」の原動力となると考えています。
「平成27年度AVCC&KK2特別講演会~地方創生、シニアが主役~」

INDEX

出演者紹介

  • 辻 哲夫(つじ てつお)氏
    辻 哲夫(つじ てつお)氏 東京大学 高齢社会総合研究機構 特任教授/元厚生労働省 事務次官

    1971年東京大学法学部卒業後、厚生省(当時)に入省。老人福祉課長、国民健康保険課長、大臣官房審議官(医療保険、健康政策担当)、官房長、保険局長、厚生労働事務次官を経て、2008年4月から田園調布学園大学 教授、2009年4月から東京大学高齢社会総合研究機構 教授を務める。現在、東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授。厚生労働省在任中に医療制度改革に携わった。編著書として、「日本の医療制度改革がめざすもの」(時事通信社)「地域包括ケアのすすめ 在宅医療推進のための多職種連携の試み」(東京大学出版会)「超高齢社会 日本のシナリオ」(時評社)等がある。

  • 石木 幹人(いしき みきひと)氏
    石木 幹人(いしき みきひと)氏 岩手県医療局理事/岩手県立高田病院 名誉院長/医師・医学博士

    1947年生まれ。青森県生まれ。早稲田大学理工学部電気通信学科卒業・同大学院を中退後,東北大学医学部に入学。その後,呼吸器外科医となり,1989年からの岩手県立中央病院(盛岡市)を経て、2004年、陸前高田市にある唯一の総合病院、県立高田病院の院長に着任。着任当時の高田病院は、数億の赤字と医師不足に悩まされていたが、地域住民のニーズに応えるべく、「高齢者に優しい病院」をテーマに高齢者医療の充実をはじめ、訪問診療の強化などさまざまな取り組みを重ねて、黒字へと建て直した。高齢者を対象とした地域医療に手応えを感じていた矢先の2011年3月、被災し、9名の職員、15名の患者、病院機能の全て、そして愛妻を失う。震災直後から、住民に寄り添い、地域のための医療を施し続けた医師としての姿、また日本の未来とも言える、高齢者人口の多い地域で取り組んできた医療の実践について、全国から注目が集まっている。

「平成27年度AVCC&KK2特別講演会」 ~地方創生、シニアが主役~ 詳細情報

日時 平成27年6月5日(金)14時~19時15分(受付:13時30分より)
会場 霞が関ナレッジスクエア「スタジオ」
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-2-1 
      霞が関コモンゲート 西館 奥エスカレータ上がる
*交流会会場は、交流カフェ「エキスパート倶楽部」です。
スケジュール 13時30分~ 受付
14時00分  平成27年度AVCC&KK2事業のご説明
      自立・奉仕・助け合いで地域社会を支えるナルク
      「中標津”見廻りたい”の孤独死防止活動」上映
14時30分  [基調講演]
      「超高齢社会:日本のシナリオ」
       講師:辻哲夫氏(東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授)
16時00分  休憩(コーヒーブレーク)
16時15分  [Good Practice発表]
      「超高齢社会、先進地域医療の実践」
      ~岩手県気仙地区での地域医療の実践と復興~<
参加対象 AVCC賛助会会員団体の皆さま/AVCC理事・評議員・監事
霞が関ナレッジスクエア(KK2)協賛メンバーの皆さま/アドバイザリーメンバー
参加について ・参加費は無料です。
・会場の都合により一団体当たり、ご出席者は3名までとさせていただきます。
・交流会のみの出席はご遠慮ください。
主催・お問合せ 一般財団法人高度映像情報センター(AVCC):TEL:03-3239-1121 / FAX:03-5157-9225
霞が関ナレッジスクエア(KK2):TEL:03-3288-1921 / FAX:03-5157-9225

当日いただいた質問への回答

辻先生への質問

質問1(参加会場:職場) 
昨日、日本創生会議が25年後首都圏では介護・医療の受入れが厳しくなるので、それに備えて地方へ移住することが課題、という発表がされましたが、地方にとっては元気で、役に立つ方が移住してくるのは歓迎でしょうが、そうでない方が介護や医療の受け入先、というのはどうなのでしょう。承服しがたいのでは。地域でずーっと税金払って暮らして年老いた方と、都会に税金を払い続けてきて、突然、年老いて地方に来た人と、どう考えたらよいのでしょう。よい制度設計は可能でしょうか。 

回答 
本人の真の住み替えの希望によるものでなく、地方の病院や施設が空いているからそちらに移すという発想の政策だとしたら、私は、好ましくないし、実施困難な政策だと思います。お年寄りは物ではありません(ケアや医療の必要な高齢者を送り出す都市部が年寄りの医療やケアにお金をつけて送り出すという案は考えられますが、高齢者はまるで金券扱いとなります。そんな社会が続くとは思えません)。要するに、都市部で、健康寿命をのばす取り組みをしながら、在宅医療を含む地域包括ケア政策を推進し、真に住み切れるまちづくりをすることが至上課題であると考えます。

質問2(参加会場:自宅) 
「地域コンシェルジュ」の必要性も役割もわかります。必要な役割だと思います。しかしながら人材がいるのかが不安です。「地域コンシェルジュ」育成計画などはあるのでしょうか?

回答 
東大の産学共同研究で人材養成プログラムの開発に取り組みたいと考えています。

質問3(参加会場:末崎地区公民館) 
休憩時間に辻先生のお話を元に、地元に落とし込んで意見交換しております。 柏市の実験的な試みを実際に実践する計画は、国レベルでありますか 

回答 
柏プロジェクトは、いくつかの点で、国の政策に(結果的に)採用されています。今後ともに国にも提案を続けたいと思います。 
(注)「地域包括ケアのすすめ(東大高齢社会研究機構編)」(東京大学出版会)という本が出ていますので、参考にしてください。

質問4(参加会場:霞が関ナレッジスクエア) 
辻先生の推進方向に強く賛同しますが、登場者について性善説前提のように思われます。例えば、コンパクトシティを嫌い、孤立を望み支援も求める人がいると思いますし、チームで医療を担うドクターにも同僚の誤診や誤治療のつけを回されても困るという方がいると思います。このような障害には対策をどうお考えでしょうか? 

回答 
基本的には、今後は(専門職の支援も受けつつ)自分のことは自分で決定するという市民側の変容も必要です。したがって、自らが、孤立を望む方については、それもご自分の意思決定であり、その枠内の生き方をされることになります。自己責任で、そのような自由もあって良いと考えています。 
チーム医療については、地区医師会を中心とする、かかりつけ医の普及、かかりつけ医間の信頼関係の醸成等地道な努力により信頼できる医療システムを築いて行くしかありません。(ドクターハンティングといった安易な発想でなく)私たちも、地域で住民とともに生きていこうとするよく信頼できる医師を探す必要があります。 
 いずれにせよ、私は、現在の外来しか診ない専門医中心の縦割り医療から、地域のかかりつけ医が在宅医療にかかわる医療システムへの切り替えが、そのような信頼できる医師の養成に繋がると確信しており、その政策の普及に注力しております。国もその方向性の政策を推進しています。


石木先生への質問

質問1(参加会場:職場)  
昨日、日本創生会議が25年後首都圏では介護・医療の受入れが厳しくなるので、それに備えて地方へ移住することが課題、という発表がされましたが、地方にとっては元気で、役に立つ方が移住してくるのは歓迎でしょうが、そうでない方が介護や医療の受け入先、というのはどうなのでしょう。承服しがたいのでは。地域でずーっと税金払って暮らして年老いた方と、都会に税金を払い続けてきて、突然、年老いて地方に来た人と、どう考えたらよいのでしょう。よい制度設計は可能でしょうか。

回答
どのような地域でも、高齢者が安心して暮らせるまちづくりが、大きな課題です。そのために、多くの地域で工夫を凝らした仕組み作りをしています。それがうまく動くようであれば、他の地域からの移住も歓迎できるようになると思います。ただ、そこまで発展的に地域作りができるところがどれほどあるかは疑問です。自分が住んでいるところで、安心して暮らせる場所を作っていくことが、そこに住む人にとって大事なところです。数合わせではなく、その土地にふさわしい安心の高齢者、障碍者の暮らしを支える仕組みを、そこに住む人たちが考え作っていくことが大切なことだと思います。

質問2(参加会場:霞が関ナレッジスクエア)
陸前高田市高田町在中の佐々木と申します。今年の2月より脳腫瘍の治療のため一時的に東京におります。質問ではないのですが、91歳の祖母が震災前の2010年に高田病院に入院してお世話になりました。大変ありがとうございます。祖母は退院後も元気だったのですが、残念ながら震災の際に自宅で亡くなりましたが、石木先生の地方高齢者医療の重要さを感じました。 

回答
ありがとうございます。安心安全な暮らしを支える仕組みを、陸前高田で考えていきます。

質問3(参加会場:自宅)
聞き落してしまいましたので、再度教えてください。陸前高田市の女性の平均寿命が1番になったというお話がありましたが、岩手県内の市町村で1番長寿という結果でしょうか? 

回答
その通りです。岩手県内で1位になっています。

質問4(参加会場:自宅)
陸前高田市にはNPOなど民間の運営による「宅老施設」(民家などを有効活用したお泊りサービスなどを行っている施設)は、ありますか? 震災前にはありましたか?  

回答
陸前高田では、ありません。隣町の住田町では、震災前から、冬季の移住施設があります。宅老所とは意味合いが違いますが、冬季雪に閉ざされる地域の家族を家族ごと移住できるシステムが出来上がっていました。

質問5(参加会場:霞が関ナレッジスクエア)
災害公営住宅は高齢者が多いというのはどこの被災地でも共通の課題であり、医療、介護面では居住地が集約されていることが望ましいですが、近い将来、災害公営住宅の空室が続出することが予想されます。末崎碁石地区では地域コミュニティーを維持し、地域の顔なじみで見守ることを期待して高台集団移転先と同地域に災害公営住宅の戸建てを要望し、市に認めていただきました。これからの集約化された災害公営住宅入居者の包括ケアについてどのようにお考えになっているのでしょうか。 

回答
陸前高田市の災害公営住宅は、高齢者の一人、二人生活者が多く入っています。早晩、介護が必要になりますし、その後、施設入居や入院、死亡となっていきます。それに伴い、空き部屋が多くなってきます。中山間部では、限界集落になっているところがあり、そこでも同じように高齢者の一人、二人の生活者が多くなっています。ここでも同じことが起こります。どこの地域でも、要介護者の入所施設が少ないため、入所待ちの状態が続くことになります。施設入所などで空いた部屋は、中山間部の一人、二人暮らしの人たちへ提供していくことがよいと思います。さらに、災害公営住宅をサービス付き高齢者住宅のような運用を考える必要があります。そのために必要なことは、24時間体制の訪問介護、訪問看護、訪問診療、配食サービスが挙げられます。そのような体制を早く実現していくことが、災害公営住宅の長期にわたる有効活用につながることになります。