岩手県「令和元年度被災者の参画による心の復興事業」  デジタル公民館けせん~けせんの魅力を世界へ~ 活動報告書

「デジタル公民館けせん」は、東日本大震災津波による被災者自身が参画し、活動する機会の創出を通じて、被災者が他者とのつながりや生きがいをもって前向きに生活することを支援するとともに、コミュニティ形成と一体となった被災者の心身のケア等の取組の推進を図ること目的とする、岩手県の令和元年度被災者の参画による心の復興事業として採択され、令和元年7月から令和2年2月までの8か月間に渡って、岩手県の沿岸部の大船渡市及び陸前高田市において行ったデジタル公民館活動です。
デジタル化公民館けせんパンフレット表紙

「デジタル公民館けせん」の目的・概要

気仙地域における被災者及び住民のITデバイド解消の取組みを通じて新たな地域交流の場を生み出し住民自身が気仙の魅力を再発見し世界に発信することで、地域振興を促進すると共に被災地域住民の心の復興を図ることを目的とする。
1 気仙地域の公民館等を拠点とする被災地域住民に対するIT教育による情報発信支援、地域内連携支援
2 気仙地域の自然、気仙大工等技術・文化、被災体験等の映像収録・編集による情報発信素材の制作支援

事業の効果・特徴

1 事業の効果
  1. facebook等SNSにより被災者自らが地域の自然や歳時を投稿する等ITリテラシを向上する
  2. 気仙地域の強みや魅力を再発見し、SNSやHP等で世界へ発信する
  3. 「おらが地域」に自信を持ち、気仙地域の文化の継承、風化の防止、心の復興をすることができる
  4. 本事業の継続により様々な取り組みが大船渡市内及び陸前高田市内へさらに展開される
2 事業の特徴
  1. 2011年より継続的活動を行っており、現在では被災者自身が自律的な地域活動を行っている
  2. 公民館活動に参画する被災者間、支援者間の心の交流が行われ心の復興に寄与する
  3. 現在地域で行われている文化継承事業、地域振興事業との連携によるシナジーが得られる
  4. 被災者自身が各取り組みに主体的に参画し、発信、発表、交流等の機会を創出する
3 自治体や地域の連携
  1. 大船渡市
  2.  末崎町地区公民館
     ハネウェル居場所ハウス(居場所創造プロジェクト)
     碁石地区復興まちづくり協議会浜の停車場碁石
  3. 陸前高田市
  4.  広田町長洞公民館(一般社団法人長洞元気村)
     気仙大工左官伝承館
4 取組み
取組み①:気仙地域の公民館等を拠点とする被災地域住民に対するIT教育による情報発信支援、地域内連携支援
<取組み内容>
・末崎町地区公民館で開催されるPC・スマホ教室運営支援
地域住民主体で運営されているPC・スマホ教室の来場者に対し、PC・スマホの基本操作、メールやfacebook等SNSの使用法、地域の自然や伝統芸能及び季節の催事の投稿法等の困りごとを一対一で対応する。
・末崎町地区公民館及び居場所ハウス等で開催される竹とんぼ教室に対する運営支援
親子ものづくり教室及びミニ門松づくり等の企画・原材料調達・製作指導補助・収録・SNS投稿・運営支援等を行う。また、竹とんぼリーダー養成講座開催時の運営支援を行う。
・広田町長洞公民館、陸前高田市気仙大工左官伝承館、碁石地区復興まちづくり協議会及び居場所ハウス等の催事企画・情報発信・運営支援
Word及びPowerpointによるちらし作成支援、SNS、ホームページ投稿等の協力。防災啓蒙活動等催事企画、既存企画の体験を通した交流、情報提供、広域連携・調整等運営支援。長洞公民館及びスマイル食堂等での地域住民との交流。
取組み②:気仙地域の自然、気仙大工等技術・文化、被災体験等の映像収録・編集による情報発信素材の制作支援
<取組み内容>
・気仙の強みを再発見し映像情報を発信するための整理を行う。
  1. 気仙大工左官伝承館で伝承する技術と歴史・文化
  2. 気仙地域に現存する気仙大工の代表作品
  3. 気仙大工の建造物の耐震性により避難所となった経験
・YouTube等を活用し視聴可能な環境の整備を支援する。
・HP運用の他、facebook等SNSによる情報発信力を高めるための支援を行う。



5 活動実績
(1)8月活動
活動日 活動場所 活動
2019年8月4日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室
2019年8月5日 長洞元気村 防災研修プログラム沿岸調査
居場所ハウス 夏休み親子ものづくり教室
気仙大工左官伝承館 デジタル公民館けせんキックオフ(第1回地域間連絡会)
(2)9月活動
活動日 活動場所 活動
2019年9月6日 大船渡市立末崎小学校 祖父母参観竹とんぼ教室
2019年9月15日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室
(3)11月活動
活動日 活動場所 活動
2019年11月2日~3日 船河原地域公民館
神坂熊野神社等
熊野神社式年大祭取材等
2019年11月9日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室
2019年11月15日~17日 末崎町民文化祭
 デジタル公民館けせんとして制作作品を出展し活動を周知
 ・竹とんぼ教室
 ・PC・スマホ教室
(4)12月活動
活動日 活動場所 活動
2019年12月7日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室
2019年12月8日 広田町長洞元気村 防災研修プログラム検討会
末崎地区公民館 ミニ門松づくり教室
広田町長洞元気村 第2回デジタル公民館けせん地域間連絡会
2019年12月22日 広田町モビリア仮設 ミニ門松づくり教室
赤崎町蛸の浦公民館
(5)2020年1月活動
活動日 活動場所 活動
2020年1月1日 碁石埼灯台広場 気仙地域吟詠会連絡協議会主催「碁石海岸 元旦初吟の集い」取材
門之浜地域公民館 悪魔祓い取材
2020年1月11日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室


(6)2020年2月活動
活動日 活動場所 活動
2020年2月15日 末崎地区公民館 PC・スマホ教室
2020年2月16日 居場所ハウス 第3回デジタル公民館けせん地域間連絡会
6 成果
(1)成果物
本取組みにおける制作物は以下の通りです。
活動団体 成果物
PC・スマホ教室 ・デジタル写真カレンダー
・デジタル写真歌集
「潮騒の聴こえる碁石海岸の写真歌集」等
・気仙の情報の映像制作
「美しい国けせん」

(2)活動実績と成果
本取組みの活動団体別の活動実績及び成果は以下の通りです。
活動団体 活動実績 成果
PC・スマホ教室 Facebookグループの活用、教室6回開催及び町民文化祭への出展、デジタル公民館けせん地域連絡会参加 ・作品制作目的による操作法習得 ・町民文化祭による地域活動への参画 ・地域内交流の定着
竹とんぼ教室 教室4回の開催及び町民文化祭への出展、デジタル公民館けせん地域連絡会参加 ・末崎町小学校、広田モビリア仮設、赤崎町蛸の浦地区公民館等活動範囲の拡大
・リーダー間交流、地域間交流
居場所ハウス デジタル公民館けせんとのWebサイトの相互リンク、末崎公民館との連携、デジタル公民館けせん地域連絡会参加 ・地域間連携により地域の居場所としてのプレゼンスの向上
碁石地区復興まちづくり協議会浜の停車場碁石 PC・スマホ教室、町民文化祭への参加、デジタル公民館けせん地域間連絡会参加 ・内外に対する取組みの積極的な情報発信
長洞元気村 WiFi環境の整備、デジタル公民館けせんとのWebサイトの相互リンク、防災研修プログラムの相互検討、デジタル公民館けせん地域間連絡会参加 ・大船渡市との地域間、集落内の交流の促進
・防災研修プログラムの検討促進
気仙大工左官伝承館 デジタル公民館けせん地域間連絡会参加、「美し国けせん」 ・陸前高田市及び大船渡市における気仙大工の伝承意義のPR、交流


(3)活動範囲の拡大
 本取組みを通じて新たな接点ができた団体・組織は以下の通りです。
・大船渡市立末崎小学校
・大船渡市赤崎町蛸の浦公民館
・大船渡市船河原地域公民館
・大船渡市門野浜地域公民館
・田ノ頭オレンジカフェ
・大船渡市地域活動支援センター
・特定非営利活動法人SET
・特定非営利活動法人陸前たがだ八起プロジェクト
大船渡市末崎町
大船渡市赤崎町
大船渡市末崎町
同上
同上
大船渡市大船渡町
陸前高田市広田町
陸前高田市小友町
7 今後の取組み
デジタル公民館けせんは、令和元年度は台風19号及び新型コロナウィルス感染等により計画を一部変更して実施しました。この取り組みは令和2年度もWeb会議システムやSNS等のICTの活用によりCOVID-19との共存社会の実現へ向けて継続してまいります。
活動 実施時期
PC・スマホ教室 毎月第二土曜日定期開催
夏休み親子ものづくり教室 2020年8月
町民文化祭 2020年10月
ミニ門松作り 2020年12月
市民活動まつり 2021年3月
デジタル公民館けせん地域間連絡会 2020年9月及び2021年2月

以上