『プロフェッショナルサラリーマン』 (俣野 成敏 著)
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■仕事を「思事」「志事」「始事」「資事」の「四事」にする
組織の一員として成果を上げ、会社の利益のみならず社会全体に貢献できる人材になるためにはどうしたらいいのか。あるいはそのような人材を育てるには? 本書は、そうした問いにヒントを提供するものである。自主性と創造性をもって職務に臨み、成果を上げることのできる社員を、著者は「プロフェッショナルサラリーマン」と呼ぶ。それは自分で仕事を「つくって」「回して」「稼ぐ」ことのできる社員のこと。仕事を「つくる」というのは、与えられるだけでなく自分で仕事を創出すること、「回す」は、つくった仕事を円滑にまっとうすること、そして「稼ぐ」というのは利益を生むことだ。与えられた仕事に「これでいいのか」と疑問を持つと仕事が「思事」になり、「こうしよう」と決めると「志事」に、それを始めて「始事」、最終的に会社の資源になり「資事」。この4段階の「四事」のサイクルを回していけるのがプロフェッショナルサラリーマンなのだ。
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■急いで取りかからずに、まず「目的」と「背景」を確認すること
ともすると、仕事は「できるだけ素早く取りかかるほうがいい」と思いがちではないだろうか。しかし急いで手をつけた仕事は、後で修正を指示されたりやり直しになることが多いものだ。そこでプロフェッショナルサラリーマンは、仕事を始める前に「目的」と「背景」を確認する。ドライブに喩えれば「目的」はゴール、「背景」は現在地にあたる。この二つを確認しないことにはスタートすることは本来できないのである。上司がこの二つを説明してくれないときには、自分で設定し自分の言葉で咀嚼してみることだ。
上司に報告をするときには、「事実」と「解釈」を混同してはならない。両者を混ぜて報告すると、事実を正しく見ることができず、ミスジャッジを誘うことにもなるからだ。
「後工程」を意識することもプロフェッショナルサラリーマンへの第一歩。自分の後にバトンを渡す人、さらにその先にあるお客様のことを常に考え仕事をするということだ。 -
◎著者プロフィール
1971年北九州市生まれ。1993年、東証一部上場の大手精密機器メーカーに入社。30歳にしてリストラ候補になるものの、役職経験も小売経験も有力人脈もないままに在庫処分を担うメーカー直販店を社内起業。2004年には世界約130社のグループ企業では異例の33歳で現役最年少の役員に抜擢され、30代で年商14億円の無借金体質の企業に育て上げる。2011 年、メーカー本体に戻り、史上最年少の40歳5ヵ月で上級顧問に就任。