『僕は君たちに武器を配りたい』
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■働く人の6タイプのうちトレーダーとエキスパートは生き残れない
先行きが見えない、非情で残酷な現代の日本社会。本書は、知識や技術の「コモディティ(汎用品)化」が進み、他と差別化して生き残っていくことが容易ではなくなった時代に「武器」となる生き方、考え方、行動の仕方について論じている。
資本主義社会で働く人は、「トレーダー」「エキスパート」「マーケター」「イノベーター」「リーダー」「インベスター(投資家)」の6タイプに分類することができるが、この中で、今後生き残るのが難しいと考えられるのがトレーダーとエキスパート。トレーダーとは商品を他の需要のある場所に運んで売る人、エキスパートは自分の専門性を高めて高いスキルによって仕事をする人だ。ITの発達により、どこにいても欲しい商品を見つけ買うことのできる時代には、トレーダーの存在意義は薄れる。また、産業構造が激しく変化する現代においては、身につけたスキルがすぐに役に立たなくなる可能性がある。 -
■投資家タイプとして臨機応変にリスクをとりながら生きる
トレーダーとエキスパート、これまでのビジネスで重要視されていた営業力と専門性は風前の灯となっている。従って、これから生き残れるビジネスパーソンのタイプは残りの四つ、マーケター(商品に付加価値をつけて市場に合わせて売ることのできる人)、イノベーター(まったく新しい仕組みを創造できる人)、リーダー(他の人を管理して動かす人)、インベスター(知識と情報を総動員して売り方を指示する人)となる。
著者がとくに勧めるのが、インベスター(投資家)として生きること。リスクとリターンをしっかりと把握し、「ハイリスク・ハイリターン」の投資機会をたくさん持つこと。たとえば、働き方にしても、労働力と時間という投資に対して、しっかりとリターンを得られるように考えることが重要になる。現代社会においては、状況の変化を読みながら、戦況に応じて臨機応変に戦術を変える「ゲリラ戦」がもっとも有効なのである。 -
◎著者プロフィール
京都大学産官学連携本部イノベーション・マネジメント・サイエンス研究部門客員准教授。東京大学法学部卒業、同大学大学院助手を経て、マッキンゼー&カンパニーにおいてコンサルティングに従事。内外の半導体、通信、エレクトロニクスメーカーの新規事業立ち上げ、投資プログラムの策定を行う。独立後は、企業再生やエンジェル投資家としての活動をしながら京都大学で教育、研究、産官学連携活動を行っている。