『ソーシャルエコノミー 和をしかける経済』
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■ソーシャルエコノミーをつかまえよう
今、私たちは普通にソーシャルメディアを使っている。ツイッター、ミクシィ、フェイスブックなど人それぞれに馴染みのサービスがあり、そこにアクセスすることで「今、世の中で起きていること」に接するようになった。ソーシャルメディアは1対1の場ではなく、つぶやきの形で世の中へ向かって発信・交流できる場だ。だから自分の社交性と発信力次第で、フォロワーや友達の数はどんどん広がっていく。可能性は無限である。
ソーシャルメディアによって人の集まり方が変わり、日本でも価値観と消費の在り方が、大きな変革期へと来ている。本書では、経済価値をも変えてしまうこの大きなうねりを「ソーシャルエコノミー」と呼び、そのメカニズムを明らかにする。ソーシャルエコノミーの基盤となるのは「同好コミュニティ」である。その活性化には日本人らしい「和」が欠かせない。ソーシャルエコノミー発動装置となるコミュニティを、創り・育て・盛り上げるノウハウを提案する。 -
■ソーシャルな時代に成功するための方法とは
ソーシャルな時代には、一過性の燃焼で消えてしまう流行・話題がどんどん増える。火を起こし、いったんついた火を燃やし続けられるエネルギーが湧くように仕向けるためには、仕掛けが必要となる。
いまや、人々の欲望のカタチが変わってきている。人々が欲しいのはいいクルマやいいカメラなどの単なるモノではなく、クルマやカメラを通じて仲間と「いいね!」といいあえる「おつきあい環境」だ。
AKB48も、B-1グランプリも、いきなりモノを売るために始まったのではなく、まず「和の共創」「よしみづくり」に向き合い、独特の「遠まわり」を大切にした。なぜなら、対個人より、対ソーシャルにコミュニケーションの重点をズラしたからだ。「うらやましさ」が喚起されないとモノは売れない。「いい人たちとの交流」こそ、新しい欲望のカタチであり、それが欲しいモノを生み出すエネルギー源となって燃え尽きないエネルギー源ともなっていくのだ。 -
◎著者プロフィール
阿久津 聡:
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授。専門はマーケティング、消費者心理学、行動経済学。主な著書に、『ブランド戦略シナリオ』(共著、ダイヤモンド社)などがある。
谷内 宏行:
株式会社電通。現在、若者をターゲットとするキャンペーンやソーシャルメディア活用に従事中。
金田 育子:
株式会社電通。現在は統合コミュニケーション・プランニングに従事し、新しいプランニング手法の開発も進めている。
鷲尾 恒平:
株式会社電通。自動車メーカーなどのコミュニケーション戦略を担当する。