『本当のブランド理念について語ろう』 (ジム・ステンゲル 著)

『本当のブランド理念について語ろう』  ‐地域間競争の時代

『本当のブランド理念について語ろう』 (ジム・ステンゲル 著) 

著 者: ジム・ステンゲル
出版社: 阪急コミュニケーションズ
発 行: 2013/01
定 価: 2,100円


【目次】
 1.新しい成長のシステム
 2.5つのルール

  • ■成長し続ける企業は「高次のブランド理念」を活用している

     変化と多様化の時代への対応に多くの企業が苦しむなか、新しい価値を提供し、着実に成長を続けている企業もある。本書では、そうした企業のほとんどが、「人々の生活をよりよいものにする」ことに関わる「高次のブランド理念」を持っていると指摘する。著者は10年間にわたり実施した調査をもとに、優れたブランド理念を持ち、それをもとに成功と成長を遂げている50社を選出、「ステンゲル50」と名付ける。本書は、自らの経験と「ステンゲル50」の事例をもとに、「高次のブランド理念」とは何か、そしてそれによる企業の成長システムについて具体的に論じている。
     高次のブランド理念は、人間にとって大切な五つの基本的価値、すなわち「喜び」「結びつき」「探求」「誇り」「社会への影響」に根差しているべき。そのことにより、その理念が社内はもとより、顧客・消費者、ひいては社会全体にも共有されていくことになるのだ。

  • ■ブランド理念を再発見することにより成功を取り戻したパンパース

     P&Gが1961年に市場に投入した「パンパース」は史上初めて大量生産・販売された紙オムツである。その魅力は優れた吸水・乾燥性にあったが、他の紙オムツも実用上問題ない吸水・乾燥性を実現できるようになると、苦戦を強いられるようになる。
     その対策を考えるうちにパンパース・チームは、あることに気づく。パンパースは、オムツの吸水・乾燥性を高めるために開発されたわけではない。あくまで赤ちゃんとその世話をする人たちの生活をよりよいものにするためだったはずだ。
     母親に対して徹底した密着調査を行った結果、すべての母親たちは「子どもの健やかな成長」に関心があることがわかった。そこで赤ちゃんの発育に関する研究成果を活用し、母親たちの関心や不安に応えることにした。ここで優れたブランド理念が再発見された。そしてそのブランド理念に基づいた戦略により、パンパースは成功を取り戻したのである。

  • ◎著者プロフィール

    P&Gの元グローバル・マーケティング責任者。同社に25年間在籍し、パンパースやオレイなどのブランドを「消費者がボス」の視点から再生させ、ブランド王国P&Gの確固たる地位を築く。2001年からグローバル・マーケティング責任者を務める。2008年に退社後はジム・ステンゲル・カンパニーを設立。コンサルティングを行なう傍ら、UCLAアンダーソン経営大学院の非常勤教授として、マネジメントを教えている。