『データサイエンス超入門』 (工藤 卓哉/保科 学世 著)

『データサイエンス超入門』 ‐ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方

『データサイエンス超入門』  (工藤 卓哉/保科 学世 著) 

著 者:工藤 卓哉/保科 学世
出版社:日経BP社
発 行:2013/11
定 価:1,680円


【目次】
 1.「データを操る力」を使いこなせ!
 2.ビジネス戦略を支えるデータサイエンス
 3.データサイエンティストでなくとも知っておきたい統計基礎
 4.データ分析のためのIT技術
 5.データサイエンスで未来を切り開け!

  • ■「データ」ありきではなく、あくまで「ビジネス」ありき

     ここ数年、データ分析・活用を研究して実践するための学問および手法であるデータサイエンスに注目が集まり、データ分析力をビジネスに活かしたいという機運が高まっている。だが、実際は「たくさんのデータを分析することでなにか気づきが得られないだろうか」といった曖昧な態度でデータ分析に取り組む場合が多いのではないだろか。しかし、ビジネス領域におけるデータ分析は、企業戦略・戦術や業務プロセスでの意思決定を支援するためのものであり、いかに画期的な分析結果が得られても、それが成果につながらなければ人材やシステム投資の無駄遣いになってしまう。データ分析はビジネス活動のためにあることを常に意識する必要があるのだ。
     本書は、グローバル企業でデータサイエンティストを務め、ITエンジニアや経営コンサルタントとともに数多くの顧客のデータ分析プロジェクトを率いてきた著者の二人が、「データ活用」に取り組むビジネスパーソンを対象に、意思決定を最適化するための「データサイエンス」の基礎知識を紹介するものである。

  • ■データ分析プロジェクトを成功に導くカギは「発射台と標的」の設定

     データ分析プロジェクトを成功に導くカギとなるのは、ビジネス要件に基づいた「標的」(目的)をしっかりと定めることである。「標的」の設定には、マーケティング部門だけでなく、経営戦略を反映させるために経営企画や営業推進部門、さらには必要なデータを調べるために情報システム部門も参画させる。思惑の異なる複数の部門が社内横断的に連携して取り組み、「発射台」(課題)の情報整理を行い、その上で「標的」(目的)を設定、それをチーム全体で共有するのだ。
     課題と目的を明確にしたデータサイエンスからは、新しい技術やアイデアに基づいた新たな価値を生み出すのに必要な、いわゆるイノベーション創出のための「視点」を得られる可能性がある。データサイエンスにより技術動向を俯瞰的に捉えることで、標的を外さずに研究開発に投資できたり、競合他社が存在しない“ホワイトスポット”を特定して市場で独占的な優位性を確立できたりするかもしれないのである。

  • ◎著者プロフィール

    工藤卓哉:アクセンチュア経営コンサルティング本部アクセンチュアアナリティクス日本統括。カーネギーメロン大学「情報工学」およびコロンビア大学「公共政策学」修士号了。ニューヨーク市政府統計ディレクターを経て、2013年6月より現職。国内外でのアナリティクス経験多数。

    保科学世:アクセンセンチュアテクノロジーコンサルティング本部シニア・マネジャー。慶応義塾大学大学院理工学研究科博士課程修了。アクセンチュアにてアナリティクスソリューションのシステム開発を指揮。