『シニアが輝く日本の未来』 (三菱総合研究所 編著)

『シニアが輝く日本の未来』 ‐高齢社会への挑戦

『シニアが輝く日本の未来』  (三菱総合研究所 編著) 

編著者:三菱総合研究所
出版社:丸善プラネット
発 行:2013/11
定 価:1,260円


【目次】
 1.プラチナ社会への挑戦はシニアが主役になる
 2.社会の担い手となるシニア
 3.これからのシニアが望む3つの欲求
 4.自分らしく生きる都会単身シニア女性
 5.プラチナ社会を支える3つの技術
 6.シニアが生き生きと暮らすコミュニティへ

  • ■シニアは来たるべき「プラチナ社会」の主役である

     日本人の健康寿命は確実に延びており、もはや65歳を過ぎたら高齢者という時代ではない。70代前半までは「まだ中年」と言えるようなデータもある。本書の編著者、日本を代表する総合シンクタンクの三菱総合研究所は、21世紀に実現すべき豊かな社会と市場を「プラチナ社会」と名付けている。衣食住の確保、移動の自由、情報の自由、そして長寿といった目標が「量」的に満たされたとき、さらに目指すべきは「質」の高い社会=「プラチナ社会」であり、65歳以上の人口が25%を超えた超高齢社会の日本では、そうした社会への挑戦はシニアが主役となる。
     本書はそんな新しいシニア像に注目し、「つながり」「認め合う」から「自己実現」へ、心理学者マズローの図式を借りながら、人生第2ステージの輝きが増していく姿を描く。

  • ■シニア世代の「つながり」たいニーズを捉えた新しいビジネス展開

     「志を立てるのに、老いも若きもない。そして志あるところ、老いも若きも道は必ず開けるのである」とは、松下幸之助の言葉である。この言葉のように、何歳になっても志高く「ありたい自分」を目指すシニアが増え、そうしたシニアたちのニーズに応えるビジネスも生まれ始めている。
     首都圏で喫茶室「ルノアール」をチェーン展開している銀座ルノアールでは、「シニア世代がゆっくりと過ごす喫茶店」「地域コミュニティ形成のための喫茶店」をコンセプトに、郊外出店型の新業態喫茶店「ミヤマ珈琲」の展開を開始した。第1号店の埼玉県朝霞本町店には広い駐車スペースがあり、メニューにはシニアに懐かしい銀皿に盛ったナポリタンも。レジ前には、コミュニティサークルの案内板が掲げられ、店内では「シニア向けスマートフォン教室」なども開催されている。多店舗化していくなかで、各地のコミュニティ活動が地域横断的につながっていく場が創出されることになる。シニア世代の「つながり」たいニーズを捉えたビジネス展開が、都市近郊で着実に始まっているのだ。

  • ◎編著者プロフィール

    日本を代表する総合シンクタンク。約650名の研究員を擁する。研究員の専門分野は科学技術系を中心に多岐にわたる。1970年の創業以来、シンクタンク事業で培った経験・ノウハウ・ネットワークをもとに、企業や国・自治体のかかえる問題の解決策を提案し、その実現に至るまでトータルに支援している。