『【決定版カーネギー】道は開ける』 (D・カーネギー 著)
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■過去と未来を鉄の扉で閉め出し、今日だけを見て生きよう
だれもが直面することのある不安や悩みだが、私たちはその対処法をあまりわかっていないのではないだろうか。本書は、世界で最も有名なビジネススキルの指導者による世界的ベストセラー。「あらゆる悩みから自由になる方法」の数々が具体例を挙げて示されるとともに、「人生の成功」を得る方法が明確に述べられている。
例えばカーネギーは、サー・ウィリアム・オスラーの事例を取り上げる。オスラーは医学生のとき、「遠くのはっきり見えないものを見るな。目の前の明白なことをやれ」という将来を変える言葉に出合った。後に大英帝国で最も有名な医師となった彼は、イェール大学で次のように講演した。「過ぎ去った昨日と、まだ生まれぬ明日を鉄のドアで遮断すれば、君たちは心安らかでいられます。“今日だけを見て生きる”習慣を育んでください」。絶え間なく変化する人生で唯一確かなものは今日という日だけ。今日を良く生きることは、すべての明日を希望に変える。 -
■リラックスの習慣を身につけて成果を上げる
カーネギーは80歳の誕生日を目前にしたヘンリー・フォードにインタビューしたとき、彼がとても若々しく元気に見えることに驚いたという。その秘訣をたずねると「私は座れるときは絶対に立ったりしないし、横になれるときは絶対に座らない」との答えだった。身体が疲れると、不安や恐怖といった感情に対する抵抗力が弱まる。疲労の防止は、心労の防止につながるのだ。
また、心の疲れはリラックスすることで解消できる。椅子の背にもたれ、目を閉じ、自分の目に向かって「目からどんどん力が脱ける」と静かに言ってみよう。これを1分間繰り返すと、目の筋肉が言葉通りになり始めていることに気づくはずである。
1日の成果は、1日の終わりにどれだけ疲れて“いる”かでなく、どれだけ疲れて“いない”かで測るようにしよう。すべての人がこのように考えれば、心の疲れからくる死亡率は一夜で下がり、疲労と心労を抱えた人が病院にあふれることもきっとなくなる。 -
◎著者プロフィール
1888年、アメリカ・ミズーリ州に生まれる。セールスマンなどの仕事を経て、YMCAの夜間学校で「話し方」についての講座を持つ。講座用のテキストとして書いた『人を動かす』(1936年)や、本書『道は開ける』(1948年)が世界的ベストセラーになり、今も売れ続けている。1955年死去。