『エッセンシャル思考』 ‐最少の時間で成果を最大にする(グレッグ・マキューン 著)

『エッセンシャル思考』 ‐最少の時間で成果を最大にする

『エッセンシャル思考』 ‐最少の時間で成果を最大にする(グレッグ・マキューン 著) 

著 者:グレッグ・マキューン
訳 者:高橋 璃子
出版社:かんき出版
発 行:2014/11
定 価:1,600円(税別)


【目次】
1.エッセンシャル思考とは何か
2.見極める技術
3.捨てる技術
4.しくみ化の技術

  • ■「成功のパラドックス」からの解放

     ビジネスパーソンの多くは、忙しすぎると感じていながらも、依頼される仕事は何でも引き受けようとする。「やらなくては」「どれも大事」「全部できる」と思うのだ。実際、優秀なビジネスパーソンはより多くのことをやりとげる。しかし、優秀な人ほど、「成功のパラドックス」に陥りやすい。成功するとどんどん多様な仕事を振られるようになり、時間とエネルギーが拡散されていく。全てが中途半端になり、本当にやるべきことができなくなる。成功したせいで、自分を成功に導いてくれた方向性を見失うという結果になるのだ。
     本書で説くエッセンシャル思考とは、より多くのことをやりとげる技術ではない。正しいことをやりとげる技術だ。自分の時間とエネルギーを最も効果的に配分し、重要な仕事で最大の成果を上げるためのものである。そのためには、ものの見方を変えて、少数の本質的なことだけを選びとらなければならない。本書はその方法論を提示している。

  • ■上手な「ノー」は、相手との関係を良くする

     周囲に認められたいという思いから、ついイエスと言ってしまう人は多いが、本当に重要なことをやりとげるためには、不要なものごとを「捨てる」必要がある。他人からのプレッシャーに負けず、きっぱりと上手に断ることは、エッセンシャル思考の必須スキルである。もちろん断るためには勇気が必要だ。だが、これにもコツがある。
     誰かに何かを頼まれたとき、まずは判断を「関係性」から切り離すことだ。頼みを断ることは、相手を拒絶することではない。関係性から切り離すことで、判断はより明確になり、それを伝える勇気と思いやりも生まれてくる。
     また、イエスと言ったら自分は何を失うかというトレードオフに目を向けることだ。「これを選んだら、別のもっと価値あることができなくなる」と考えれば、中途半端なイエスは言えなくなる。実のところ、人はノーと言う勇気のある人を高く評価する。上手に断ることは、より良好な関係を築くことにもつながるのだ。

  • ◎著者プロフィール

    シリコンバレーのコンサルティング会社THIS Inc.のCEO。エッセンシャル思考の生き方とリーダーシップを広めるべく世界中で講演、執筆を行い、アップル、グーグル、フェイスブック、ツイッターなどの有名企業にアドバイスを与えている。2012年には世界経済フォーラムにより「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出された。