『異質を巻き込む力』(川崎 貴聖 著)

『異質を巻き込む力』

『異質を巻き込む力』(川崎 貴聖 著) 

著 者:川崎 貴聖
出版社:PHP研究所
発 行:2014/11
定 価:1,400円(税別)


【目 次】
序.赤兎馬のDNA
1.青年期の基礎体力づくり
2.異質へ向かう姿勢
3.異質への順応
4.異質との交流
5.異質の説得・交渉
6. Global-Minded Japanese

  • ■異質と戦うために不可欠な「異質を巻き込む力」

     さまざまな海外企業との競争、異業種間の競争、さらには新しいビジネスモデルを掲げて突如出現する“スタートアップ”との競争等々、現代は「異質」との競争が激化している時代である。こうした厳しい時代に生き残れるのは、国や業種や新旧の枠を超えて、知恵、人材、ビジネスパートナー等のリソースを広く集められる企業だろう。また、それらを創造的に活用・統合する「異質を巻き込む力」が不可欠だ。しかし多くの日本人は、異質な文化や思想、価値観を持つ海外の人々に、彼らが本来持っている実力を発揮してもらうための「異質の巻き込み」が決して上手とはいえない。
     本書は、戦略コンサルタントとして海外で活動し、現在、多国籍スタッフを数多く抱える企業のCEOを務めて、日々「異質」と接している著者が、自身の体験をもとに、異質への理解、意思疎通、説得・交渉の方法、さらにはリーダーとしてどのように彼らを率いるかについて考察している。

  • ■相手の常識を見極める大切さ

     同質的な社会で育ってきた日本人は、海外でも自分たちの常識を基準にしがちだ。しかし海外でビジネスをするなら、まずは日本の常識を忘れて、どこまで相手の常識に合わせるか、どこから先は譲れないかを決めなければならない。たとえば中国では、商品の横流しや従業員の着服などは日常茶飯事で、そこには「だまされるほうが悪い」という中国人の「常識」があり、それが人事等にも反映される。だが、賄賂を受け取る、秘密保持契約を無視するなど、決して譲れない「常識」もあるので、常にこちらで線引きしておく必要がある。
     また日本の企業では、「報告・連絡・相談」が義務づけられるが、欧米では「任されたら、あとは自分が結果に責任を持つ」というのが常識なので、要求しない限り「報・連・相」が一切ないことも珍しくない。彼らにとって「任せる」とは、全権委任を意味する。日本での常識を捨て去れば、部下から「報・連・相」が一切ないことに苛立つこともないのだ。

  • ◎著者プロフィール

    1979年生まれ。東京大学農学部卒。あずさ監査法人国際部入所後、株式会社コーポレイトディレクション(CDI)に参画。後に同社アソシエイトパートナーおよびCDI上海の総経理に就任。現在、Redhorse Corporation CEO。Odigo Founder and Chairman。香港科学技術大学MBA。公認会計士。