『孫正義の参謀』 -ソフトバンク社長室長3000日(嶋 聡 著)

『孫正義の参謀』 -ソフトバンク社長室長3000日

『孫正義の参謀』 -ソフトバンク社長室長3000日(嶋 聡 著) 

著 者:嶋 聡
出版社:東洋経済新報社
発 行:2015/01
定 価:1,800円(税別)


【目 次】
1.携帯事業への参入と「光の道」構想
2.自然エネルギーへの挑戦
3.アメリカ市場への大躍進
ソフトバンクの挑戦の歴史と孫正義氏の哲学と行動を“名参謀”が語り尽くす

  • ■ソフトバンクの挑戦の歴史と孫正義氏の哲学と行動を“名参謀”が語り尽くす

    大胆な戦略で営業利益1兆円超えを果たし、日本を代表する巨大企業に名を連ねるに至ったソフトバンク。同社の成功の影には、孫正義社長を支える有能な参謀がいた。元国会議員であり、2005年から8年にわたり社長室長を務めた嶋聡氏である。本書は嶋氏本人が、内部から見た知られざるソフトバンク発展の歴史と、経営者・孫正義氏の姿を詳細に描いている。
     2006年3月にソフトバンクが携帯電話事業者「ボーダフォンジャパン」の買収を決めた時、孫社長は「10年以内にNTTドコモを抜く」と、大風呂敷にしかとられない決意を口にする。著者はその思いを真摯に受け取り、「純粋な民間企業がナンバーワンになることで、日本の経済を一段階上に押しあげることができる」と考え、何としても実現させることを誓った。
     そしてソフトバンクは、2013年度第2四半期に連結の売上高、営業利益、純利益でNTTドコモを抜く。孫社長は有言実行を果たしたのだ。

  • ■未来のビジョンを描き、そこから引き算をして今何をすべきかを提示する

     「引き算方式」が孫氏の経営の真髄と、著者は考えている。5年先から100年、300年先を、とことん考え尽くす。そこから引き算して「今、何をすべきか」を決める。ボーダフォン買収のタイミングも、この「引き算方式」による判断だった。孫社長には、2010年頃にモバイルインターネットの時代が来るという確信があったのだ。iPhoneの構想がまだ世に出る前にスティーブ・ジョブズに販売権獲得を掛け合ったという逸話さえある。
     また、孫社長は多面的に考え、考えに考え抜いてシンプルな方針を打ち出す。事業を始める際にも、1年半にもわたり、40ものビジネスモデルを検討した末に、情報革命、インターネットという道を選んだ。
     孫社長が打ち出す方針は、シンプルであるがゆえに、それまでの思考プロセスを知らない者には飛躍した構想ととられがちだ。著者は、それにリアリティを与え、実現に向け調整するのが自らの役目と自負していた。

  • ◎著者プロフィール

    ソフトバンク顧問。1958年岐阜県生まれ。名古屋大学経済学部卒業。松下政経塾第2期生。政経塾卒塾後、塾の指導塾員、研究所長、東京政経塾代表を務める。1996年より衆議院議員に当選、3期9年を務める(新進党から民主党)。民主党では、菅直人、鳩山由紀夫、岡田克也三代表の補佐役を務める。2005年、郵政解散による総選挙で落選。同年、ソフトバンク社長室長に就任。2014年4月より現職。東洋大学経済学部非常勤講師などを兼務。