『HARD THINGS(ハード・シングス)』 (ベン・ホロウィッツ 著)

『HARD THINGS(ハード・シングス)』 ‐答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

『HARD THINGS(ハード・シングス)』 (ベン・ホロウィッツ 著) 

著 者:ベン・ホロウィッツ
訳 者:滑川 海彦/高橋 信夫
出版社:日経BP社
発 行:2015/04
定 価:1800円(税別)


著 者:ベン・ホロウィッツ
訳 者:滑川 海彦/高橋 信夫
出版社:日経BP社
発 行:2015/04
定 価:1,800円(税別)

  • ■幾多の困難を乗り越えた投資家が経験をもとにアドバイス

     何か物事を成し遂げようとするときには、さまざまな難題や困難が必ず降りかかってくる。それらをいかに乗り越えるかが、成功のカギになるのは間違いない。本書では、著者が創業者CEOとして直面した幾多の難題(ハード・シングス)と、それらにどのように対処したかを率直に包み隠さず綴っている。そして、そうした経験をもとに、新世代の若い創業者CEOを筆頭とするすべての“困難に立ち向かう人々”にアドバイスを贈っている。
     著者は、結局のところ、難題を解決する一般的な処方箋やマニュアルなどないという。その場の状況に応じて、これまでの経験からくるひらめきで対応していくしかないのだ。たとえば以前、著者が経営していた会社で部門間のひどい対立があった。頭を抱えた著者は、偶然、母娘の心と体が入れ替わる映画を観て、両部門の責任者の職務を入れ替えることを思いつく。そして1週間後には両チームが見事に協力し合う態勢ができ上がった。

  • ■あえて「苦闘を愛す」ことがハード・シングスに立ち向かうコツ

     会社を経営していると、「投資家や株主、社員などへの気兼ねから自由な発言ができない」「創業時から一緒にやってきた社員を解雇しなければならない」などさまざまな問題に出くわすうえに、CEOは決して弱点や欠点を見せてはならないように思えることもある。
     困難に直面したときに何をすべきかは、CEOが自ら判断する以外に方法はない。だからこそ、あえて「苦闘を愛す」ことでそれらを乗り越えてほしいと著者は願っている。
     また、会社は人、製品、利益の順番で大切にしなければならない。人を大切にするとは、会社を働きやすい場所にすることだ。物事がうまくいっているときは、働きやすさなど重要でないように感じるかもしれない。だが、事態が悪化したときに社員が会社に留まる唯一の理由は、“その仕事や会社が好き”であることなのだ。だから、製品や利益うんぬんの前に、良い会社であること自体を大事にするべきというのが著者の信条なのである。

  • ◎著者プロフィール

    シリコンバレー拠点のベンチャーキャピタル、アンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者兼ゼネラルパートナー。次世代の最先端テクノロジー企業を生み出す起業家に投資している。投資先には、エア・ビー・アンド・ビー、フェイスブック、ピンタレスト、ツイッターなどがある。それ以前はネットスケープなどを経て、オプスウェア(元ラウドクラウド)の共同創業者兼CEOとして、2007年に同社を16億ドルでヒューレット・パッカードに売却した。