『カフェオレからはじめるイノベーション』 (田子 學、田子 裕子 著)

『カフェオレからはじめるイノベーション』  ‐オトナがますます育つ「考え方」の絵本

『カフェオレからはじめるイノベーション』 (田子 學、田子 裕子 著) 

著 者:田子 學、田子 裕子
出版社:翔泳社
発 行:2015/06
定 価:1,680円(税別)


【目次】
1.情報を解きほぐす
2.情報を集める
3.情報の連結

  • ■イノベーションの成功には、様々な視点からの観察と情報収集が必要

     イノベーションは、「ひらめき」が天から降ってくるようなものではなく、誰でもできる簡単なことを意識して日々実践し習慣化することで生み出していくことができる。本書は、絵本+解説+ワークの3ステップでイノベーションに必要な基本スキルを会得できるワークブックとして構成されている。
     “エナジードリンク”のパイオニアであるレッドブルは創業時、「レッドブルのための市場は存在しない。我々がこれから創造するのだ」として、競合ひしめく既存のスポーツドリンク市場に参入する道を敢えて選ばなかった。視点を変えて、“エナジードリンク”という新しいカテゴリを作ることでファンを獲得し、不動の地位を確立したのだ。
     目の前の課題に気を取られてばかりではだめで、日常的なことを色々な角度から観察し情報収集することで、目には見えない関係性や顕在化していない事柄を察知できる。この視点がイノベーションを成功させるためには必要なのだ。

  • ■「プロトタイプ」で思考をカタチにしていく

     イノベーティブな思考を推し進めるには、企画段階から実際に試作をしてみる「プロトタイプ」を通して、実験を繰り返し、失敗の中から可能性の種を見つけ出すことである。実際にプロトタイプしたモノを目の前にすると五感によってその良し悪しを判断することができるからだ。
     まず思い描いた構想は、紙などの身近な材料を使ってどんどん形にしていく。出来映えや評価は二の次である。次に3Dプリンターなどを使いながら少し精度をあげて、イメージの輪郭を捉える。こうしてフィードバックと軌道修正を加えながら、提案の精度を高めていくのである。
     さらに、イノベーションを成功させるために最も重要なことは、学問分野の垣根を越えた創造的なチームでアイデアを出し合うことだ。そうすれば多様な意見が集約でき、より高い次元を目指すことができる。さらに、この作業を通して築かれる仲間への尊敬の念やお互いの信頼関係は、かけがえのない宝物となるのだ。

  • ◎著者プロフィール

    田子 學:エムテド代表取締役。アートディレクター、デザイナー。慶應義塾大学大学院特任教授。東芝デザインセンター等を経て、エムテドを起業。幅広い産業分野のデザインマネジメントに従事。GOOD DESIGNAWARDなど世界のデザイン賞受賞作品多数。著書に『デザインマネジメント』(田子裕子との共著・日経BP社)がある。

    田子 裕子:エムテド取締役。プランナー、デザイナー。女子美術大学非常勤講師。プロジェクトにおいて生活者としての鋭い意見を反映したコンセプトメイクの役割を担う。本書では企画編集と執筆を担当。