『ビジネスについてあなたが知っていることはすべて間違っている』
-
■原始人思考の落とし穴
世界中のいたるところに意味をなさない行動があふれている。異議を唱えたくなる新しい一般認識や習慣が見つかる。あなたも私も間違いを犯す。論理的に考え、間違った例から学び、別のもっと優れた方法があることに気づいたはずなのに、なぜか正しい方法をとることを拒んでしまう。なぜこれほど多くの人間が間違いを続けてきたのだろう。
それは、私たちの脳の一部に原始人の記憶が残っているからだ。人間の心はいまもなお石器時代から抜け出せず、原始人の思考法で情報時代の問題に取り組もうとしている。
理屈で考えれば受け入れるのが難しいことではない問題に対して、なぜだか対処するのが難しいと感じる部分、それが原始人の脳だ。原始人の脳はいまだに強い影響力を持ち、完全に理にかなっているはずのことに違和感を覚えたり、抵抗を感じたりする。この原始人思考の落とし穴にはまらないためには、それが仕掛けてある場所を突き止めることが大切である。 -
■使い古された思考法から解放されるために
本書では、いろいろな領域における間違った思考法から生じる様々な奇妙な誤りが明らかにされている。不注意な思考から生じるよくある問題を詳細に検討し、いくつかの解決策も紹介する。
まずは、現代的な問題を扱う際にも原始人の思考が先入観を植えつけていることを認めよう。そして、そこから思考を開放するためには思考について考えることが必要である。思考には「反射行動」「アルゴリズム分析」そして「創造的思考」の3つのレベルがある。3種類の思考プロセスには、それぞれ使い道がある。重要なのは、それぞれの思考法の長所と短所を認めたうえで目的に応じて正しい状況で正しい思考法を選ぶということだ。
古臭い思考法から解放してくれる、一度ですべてが変わる絶対確実な方法は存在しない。大切なのは、自分の思考・決断・行動を、常に変化する現実に合わせる努力である。 -
◎著者プロフィール
イギリスを拠点とするビジネス・コンサルタント会社、エイクンハースト・コンサルタンツのCEO。イギリスのビジネス誌『Management Today』のコラム執筆者。ケンブリッジ大学で数学を専攻後、アーンスト&ヤングの見習い会計士としてキャリアをスタートさせ、大手出版社ピアソンの内部コンサルタント、チャーチル・コミュニケーションズ・ヨーロッパのコマーシャル・ディレクターなどを経て独立。