『100歳の金言』
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■人生、生きがい、仕事、健康等について50のヒントを提供
100歳を越えた今なお、聖路加国際病院理事長・名誉院長をはじめ数々の要職につきながら、現役の医師を続けている日野原重明氏。本書は、同氏がこれまでの人生、臨床医としての経験をもとに、人生観や生きがい、仕事について、生活と健康の維持・向上の方法など、現代の日本人に伝えたい50のヒントを書き綴ったものである。
日野原氏は「いのち」とは「私たちが自由に使える時間」のことであると言う。すなわち、時間を使うことで「いのち」が形になる。この世に生まれてから死ぬまでの時間は、すべての人に平等に与えられている。従って、自分に与えられた時間を有意義に使うことを心がけることによって「いのち」を輝かせることができるということだ。
また、「幸福」とは「困難への対応の仕方」だという。スイスの法学者・カール・ヒルティの言葉をひきながら「困難と闘って勝利をおさめること」こそが幸福であると説く。 -
■予定は「アポイントメント」ではなく「コミットメント」
日野原氏は予定のことを「アポイントメント」とは呼ばず、「コミットメント」と言うようにしている。アポイントには「変更可能」のイメージがあるが、コミットメントは「神と交わす約束」、達成しなくてはいけない義務という強い意味があるからだ。そのように、公的なことや使命感をもって計画していることを、「どうしても果たさなければいけないこと」として自分に義務づける。その強い思いが「生きがい」になっていくという。未来への約束としてゴールを設定することが前向きに、積極的に生きる原動力になる。
英語「profession」には、「神さまに誓う、私の身を捧げます」という約束の意味が込められている。お金儲けだけでなく職業を通して神に仕え、人々のために尽くす、ときには自分の時間や体力を犠牲にしても仕事をまっとうする、そうした姿勢がプロフェッションである。この精神をもって仕事をすることで「生きがい」をもつことができるのだ。 -
◎著者プロフィール
聖路加国際病院理事長・名誉院長。1911年山口県生まれ。1937年京都帝国大学医学部卒業。同大学大学院修了の後、聖路加国際病院内科医として赴任し、以来現在まで臨床医を続けている。1951年米国エモリー大学に留学。現在、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長、日本音楽療法学会理事長、日本ユニセフ協会大使等も務める。2001年、90歳の時に著した『生きかた上手』(ユーリーグ)は大ベストセラーになった。