『クラウドビジネスと法』(一般財団法人ソフトウェア情報センター 編)

『クラウドビジネスと法』

『クラウドビジネスと法』(一般財団法人ソフトウェア情報センター 編) 

編者:一般財団法人ソフトウェア情報センター
出版社:第一法規
発行:2012/10
定価:3,150円


【目次】
 1.クラウドコンピューティングサービスの提供に関わる問題点
 2.電子書籍
 3.ネットワークと著作権―コンテンツ利用を巡る諸問題―
 4.ソーシャルメディア利用ビジネスと法律問題
 5.EC電子決済
   ―クレジットカード決済、決済代行サービスを中心に―

  • ■クラウドコンピューティングの抱える問題点

     技術の変化は、人々の暮らしにかかわる最も基本的なインフラに顕著に現れ、その変化につれて社会のあり方も変えていく。「クラウド」は、新しいビジネス分野の創設にとどまらず、従来のビジネスの方法や構造にも変容を迫っている。
     法の分野においても、新しい事象への直接的な対応のほか、旧来の技術、社会の仕組み、ビジネスを前提とした制度の適応が求められている。本書は「クラウド」に関わる重要なビジネスに関連する法的問題を取り上げ、ビジネスと法の発展に寄与することを目指している。
     現在、クラウドコンピューティングにおいて指摘されている問題点のひとつに「セキュリティに関わる問題」がある。クラウドはインターネット接続を介して利用させる場合が多いため、不正アクセス、通信中断等の影響を受けやすいことなどが不安視されている。セキュリティ問題は、2010年の総務省の調査結果によるとクラウドサービスを利用しない理由の1位となっている。

  • ■コンテンツ利用を巡る諸問題

     生活を便利にする新しい技術を伴うサービスは日々登場してくる。残念ながら、そういったサービスがすべて適法とされるわけではない。これは万国共通である。
     たとえば、音楽や映像などの著作物利用をとりまく環境は劇的に変化し、インターネットの急速な普及により、法が想定していた態様をはるかに超えたコンテンツの利用が広がっている。
     著作権その他の知的財産権は、天賦人権と異なり、人間が後天的に作り出した権利であり、社会のルールである。したがって不合理と思われる権利であっても、社会のさまざまな利益を調整していくために保護されることがある。技術の進歩と権利保護は、本来ともに歩んでゆくべきものであるが、時として対立し、権利保護のために便利な生活が犠牲にされたり、その逆の事態も生じる。
     ネットワークにおけるコンテンツの利用については、今後も、著作権者が想定していなかった新しい利用形態が登場してくることは必至である。

  • ◎著者プロフィール

    1986年(昭和61年)に設立され、ソフトウェアプロダクトに関する普及啓発及び調査研究、ソフトウェア等の権利保護に関する調査研究、プログラム著作物に係る登録事務等を行う一般財団法人。附属機関にソフトウェア特許情報センターがある。