『モバイルクラウド』
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■私たちは「モバイルクラウドの中」にいる
モバイルクラウドの生み出すインパクトは、あらゆるビジネス領域を超えて、個人の「仕事」「生活」にまで変化をもたらそうとしている。
本書では、モバイルクラウドが関係する業界の分析・予測・提案だけでなく企業におけるワークスタイル、また、個人のライフスタイルにおけるイノベーションなど、これから起こる様々な「変化」にも言及している。
私たちを取り巻くビジネス環境において、この直近5年間の非常に大きな変化として、個人の消費者がプロ化する「プロシューマ化」、個人や組織の「壁」を超えて情報の共有や議論ができる「オープン化」、そしてつながりたいと思った人たちと簡単につながっていくことができる「ソーシャル化」などが挙げられる。
このような変化によって、既存のワークスタイルやビジネスのあり方が大きく影響を受け、新しいモデルへと変わる時代が到来している。プロシューマ化やソーシャル化のトレンドの裏にある不可欠な需要が、「モバイル」と「クラウド」である。 -
■ワークスタイル・イノベーション
企業環境において、具体的にモバイルクラウドでどんなことができるのだろうか。たとえば、ホワイトカラー職種の人々にとっては、モバイルクラウドの活用によって、デスクを必要としないワークスタイルを実現し、動き回りながら仕事ができるというメリットがある。また、マネジメント層は様々なデータをスマートフォンなどで確認することが可能となり、意思決定や決裁事項の承認が迅速化できるメリットがある。モバイルクラウドは、このように意思決定に関わるスピードの遅さを確実に解決することができる。
モバイルクラウドを使うことによってもたらされるワークスタイルの変化は、コミュニケーションの取り方にも表れる。モバイルクラウド時代には、電話をしながらファイルを送信し、場合によっては会話しながらそのファイルを共同で編集してしまうといったコラボレーション環境が実現し、スピーディーで効率的なコラボレーションワークができるようになる。 -
◎著者プロフィール
デロイトトーマツコンサルティング株式会社、テクノロジー・メディア・テレコムユニット統括パートナー。大学卒業後、松下電工株式会社(パナソニック株式会社)にて通信機器の企画開発に従事。その後、外資系コンサルティング会社などを経て現職に至る。通信・メディア・ハイテク業界中心に、商品戦略、新規事業戦略、バリューチェーン再編などのプロジェクトを多数手がける。「モバイル」「クラウド」に関する寄稿・講演多数。著書に『図解 クラウド早わかり』(中経出版)がある。