『BQ』
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■IQ、EQを凌ぐBQ
1982年に西武クレジットに転籍した林野氏は、「10年かけて、この会社を業界ナンバーワンにする」と宣言、業界の慣習を破って「即与信、即発行、即利用」「サインレス」「永久不滅ポイント」のイノベーションを生み出すことで、2002年に業界ナンバーワンを達成した。
BQ(ビジネス感度"Business Quotient")は、そうした林野氏のオリジナル指標であり、BQ=IQ(知性"Intelligence Quotient")×EQ(理性・人間性"Emotional Intelligence Quotient")×SQ(感性"Sensibility Quotient")で求められる。
BQの高い人は、経験や知識をベースに、鋭い感性によって知恵を生み、その知恵を新しい価値、更には富へと変えていく。また、コミュニケーション能力やリーダーシップに優れ、組織の中で大いに力を発揮する。従来の「優秀な人材モデル」では知的感性の時代を生き抜くことは困難であり、21世紀に勝ち残るためにはBQを磨くしかない。 -
■BQの高い人は心に響くサプライズにこだわる
著者は西武百貨店の企画室時代に、経営幹部がプランを当時の堤清二社長に提案したときの様子をじっくり観察していた。堤氏といえば「J-WAVE」「セゾン」「パルコ」「無印良品」の名づけ親で、「J」をつける名称や都市型ショッピングセンターの三文字カタカナ名称のもとをたどれば堤氏にいきつく。そんな堤氏の反応がよかった提案に共通するのは、「企画の中身やプレゼンにサプライズがあるか」だったという。
このことは、現在の消費社会にも通じる。「モノからコト」「サービス化」というパラダイムシフトの時代に、消費者は高性能・多機能なものより、感性を刺激するものを選ぶようになった。大切なことは、消費者の感性を刺激するサプライズなのである。変化の激しい時代に、変化の兆しをキャッチできるかどうか、新しいビジネスの息吹を感じ取るかどうかは、感性、つまりBQの違いで差がつく。BQの高い人は心に響くサプライズにこだわるのである。 -
◎著者プロフィール
株式会社クレディセゾン代表取締役社長。1965年に西武百貨店入社後、人事部、企画室、営業企画室、マーケティング部長兼営業開発部長を経て、同百貨店宇都宮次長となる。1982年西武クレジット(現・クレディセゾン)に、クレジット本部営業企画部長として転籍し、2000年より現職。著書に『勝つ人の考え方 負ける人の考え方』(かんき出版)、『運とツキの法則』(致知出版社)。共著に『トップリーダーたちの経営構造』(学文社)、『企業戦略と組織』(生産性本部)等。