『アジア人材活用のススメ 』(近藤 昇 著)

『アジア人材活用のススメ』

『アジア人材活用のススメ 』(近藤 昇 著) 

著 者: 近藤 昇
出版社: カナリア書房
発 行: 2013/01
定 価: 1,470円


【目次】
 1.数字で見るアジア人材
 2.アジアの人々が日本で働く
 3.各国でアジアの人々と働く
 4.アジア一体化時代の人材マネジメント
 5.アジア人材のスペシャリストからの提言

  • ■中小企業こそ、アジア人材を積極的に活用すべきである

     現在、日本企業の多くは、縮小するマーケットの中で埋没しないために過剰な付加価値経営を余儀なくされている。また、世界一要求が厳しいといわれる日本人顧客の対応のため、行き過ぎたサービス合戦をも繰り広げている。20年にわたって中小企業の経営支援に携わってきた筆者は「日本の中小企業経営者は革新を迫られている」と語る。
     激動する経営環境の中でも、とりわけ深刻なのが人材の問題である。中小企業にとっては優秀な学生を採用することが以前にも増して厳しくなっている。これは、日本の中だけの問題ではない。グローバル化の進展で世界中の優秀な人材が国境を超えて世界中で活躍を始めている。とりわけアジアの台頭は目覚ましい。成熟社会を迎えた日本は、アジアと一体となって成長を目指す時期に来ている。
     本書では、アジア人材を活用するための準備や具体的なアプローチ方法など、アジア人材活用のポイントが教訓もまじえながらまとめられている。

  • ■人材育成でアジアの発展に貢献する

     現在、多くのアジアの人々が日本に魅力を感じて来日し、どん欲に仕事を求め懸命に働く中で、日本企業のノウハウを学び取ろうとしている。また、多くのアジア人経営者が「日本の経営を学びたい」と切望している。
     会社を発展させるために大切なことは、会社の経営理念やビジョンに心から共鳴し、組織の一員として行動できる社員を育成することである。そのためには、会社が目指すべきビジョンを明確に説明し、教育し、評価する仕組みの整備が必要となる。継続する社員をそだて、自社の次代を担うコア人材を育成するためには、長期目線で忍耐強く人を育てる意識を持たなければならない。その意味で、アジアの人材マネジメントには長期目線で人を育ててきた歴史を持つ日本企業が向いている、と筆者は語る。
     市場が縮小する日本は今後、経済力でアジアをリードすることは難しいが、人材育成ノウハウを最大限に活用し、アジア人材の育成に貢献することで、アジア全体の発展に貢献することはできるはずである。

  • ◎著者プロフィール

    ブレインワークスグループCEO。神戸大学工学部建築学科卒業。一級建築士、特種情報処理技術者の資格を有する。中小企業の総合支援事業を核に、人材育成支援、セキュリティ支援、ITアウトソーシング支援などのサービスを提供。また14年前よりベトナムに進出し、同様のサービスを提供。自ら現場での研修・指導を行う。徹底した現場主義スタイルにより、自立型社員・企業の育成、事業承継・拡大など、数多くの企業の経営革新に貢献している。