『日本人が知らない中国インターネット市場』 (山谷 剛史 著)
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■中国のいまを知るツールのひとつ
2012年、中国の街ではかつての日本のように次々と変化が起こり、流行がやってきては過ぎ去った。大都市だけではなく、中国全土で人々の生活の中に新しい風が吹いている。インターネットの普及が、流行の時差をフラットにしつつある。新しいサービスがリリースされれば、国境でなく省を問わず利用することができる。
中国のインターネットのトレンドを知るには、新しいサービスの紹介と共に、統計や事件系ニュースも大事である。法の整備も国による指針を見る上で大事である。
本書では、普段現地でよく取材している著者が、インターネットや携帯電話・スマートフォンなどに関するさまざまなニュースや出来事をピックアップし、分かりやすく紹介している。また、興味深い事件・ニュースに関してのコラムもあり、体系的に1冊にまとまっていて、今の中国のインターネットの状況が、どのようになっているのかをリアルに理解することができる。 -
■尖閣諸島問題における中国ネット世論
2012年8月から9月にかけ尖閣諸島問題をトリガーの一つとして中国の反日世論が高まった。結果、反日デモが発生し、一部が暴徒化し商業施設や工場などを破壊するような衝撃的な映像や写真が続々と報じられた。反日デモの今回の参加者は、ネット世代である若者が多かったようだ。ブログによってデモ開催情報が拡散され、参加者は憤り立ち上がってはいるが、ややお祭り感覚も混じっているように解釈もできる。一方、暴動に対してネット上で反対の声も多くあがっている。
今回の反日デモでは、「日本製品不買」を訴える声があがり、本気で取り組んでみようという人が増えたようだ。家電や車や化粧品や衣服などで、日本以外の企業の製品が充実してきたこともそれを後押ししている。
ネット世論は「暴力反対、不買反対」か「暴力反対、不買賛成」に分かれる。ネット世論が日本製品不買にずっと進み、日本企業が努力を怠れば、中国市場での日本製品の売れ行きは長期にわたって低迷するかもしれない。 -
◎著者プロフィール
1976年東京都生まれ。中国アジアITジャーナリスト。現地の情報を生々しく、日本人に読みやすくわかりやすくをモットーとし、中国やインドなどアジア諸国のIT事情をルポする。2002年より中国雲南省昆明を拠点とし、現地一般市民の状況を解説するIT記事や経済記事やトレンド記事を執筆講演。日本の媒体ほか中国の媒体でも連載経験有。日本のIT事情を紹介しITに関心ある中国人の注目を集めた。