『[実践]課題解決の新技術』(炭谷 俊樹 著)

『[実践]課題解決の新技術』

『[実践]課題解決の新技術』(炭谷 俊樹 著) 

著 者: 炭谷 俊樹
出版社: PHP研究所
発 行: 2013/02
定 価: 1,470円


【目次】
 1.偏差値型と探究型
 2.探究型生き方の実例
 3.「探究実践」の進め方
 4.探究型を育む環境

  • ■「正解」のない時代に求められる「探究実践」のメソッドを紹介

     近年、日本企業からiPhoneのような世界を席巻するイノベーションが生まれないのはなぜか。本書で著者は、それは「偏差値型」の考え方が蔓延しているからだと指摘する。「豊かになること」という共通の「正解」があった高度経済成長期とは異なり、「正解」のない現代に求められるのは「探究型」の生き方であると主張。それを実践するためのメソッドである「探究実践」の具体的な方法について順を追って解説している。この「探究実践」は神戸情報大学院大学や「東京大学i.school」等の講義でも採用されているものである。
     自分なりの解を見つけ、自らの道を開拓していくのが「探究型」の生き方だ。しかし、それは自分勝手でいいということでは決してない。志を同じくする人、自分が喜ばせたい人や貢献したい人を見つけ、一緒に何かを創造していくことである。探究型のキーワードは「自立・協創」であり、人や社会に貢献する「社会価値」といえるのだ。

  • ■1枚のシートに「探究チャート」を作成し仮説を整理する

     「探究実践」では、まずテーマを発見し、仮説を立てる。その仮説を整理するのに役立つのが「探究チャート」だ。1枚のシートを上下に分割し、上段左側には見つけた「課題」を書く。そこから矢印を引き、上段右側には「提供価値」を置く。これは「課題」を解決することによって社会にどのような「価値」を提供したいのか、ということだ。下段は3分割し、上段に掲げたことを現実にするために必要なもの、すなわち「資金源」「技術・ノウハウ」「協力してもらう人材や組織」の三つをそれぞれ書き込んでいく。
     「提供価値」では、大胆な発想で大きな夢を描いたほうが、生き生きとしたやりがいのある探究実践ができる。Amazonはスタート時に「世界最大の書店をつくる」と目標を定めた。それに対して「どうすればいいのか」を真摯に考え、技術や人材を投入していったのだ。創業者による当初の大きな夢=「探究的発想」がなければ、今の成功は築けなかったのである。

  • ◎著者プロフィール

    神戸情報大学院大学学長、ラーンネット・グローバルスクール代表。東京大学大学院理学系研究科修士(物理学専攻)。マッキンゼーにて10年間日本企業及び北欧企業のコンサルティングに携わる。デンマークの社会や教育に感銘し、1996年、神戸で子どもの個性を活かす「ラーンネット・グローバルスクール」を開校。2005年よりビジネス・ブレークスルー大学大学院教授(2010年より客員教授)。2010年神戸情報大学院大学学長に就任。