『「最高の授業」を、世界の果てまで届けよう』
-
■偏差値28の落ちこぼれが世界の教育危機を救う!?
偏差値28。担任から「2浪しても受かる大学はない」と言われ、同級生からは「税所はバカだから」と見下されていた落ちこぼれの著者が、早稲田大学教育学部に現役で合格、さらに在学中にバングラデシュで始めた、映像による教育支援事業「ドラゴン桜プロジェクト」が、世界5大陸に広がって行く過程を綴ったドキュメントである。 バングラデシュの農村では、優秀なのに経済的事情で大学への進学をあきらめてしまう高校生が少なくない。またバングラデシュ全体では4万人もの教師が不足している。そこで著者が考えたのが、著者自身がT予備校で体験し、短期間で効果を上げたDVD授業だ。首都ダッカの予備校でトップクラスの人気を誇る先生たちの授業をビデオ撮影してDVDに収録、何枚もコピーして農村の高校生に届ける。この試みは見事成功し、初年度から名門・国立ダッカ大学に合格者を出したほか、DVD授業を受けた30名のうち20名を大学に送り込むことができたのだ。
-
■逆境こそイノベーションを生む土壌となる
著者がバングラデシュに関心を持ったきっかけは、『グラミン銀行を知っていますか』という本だ。グラミン銀行はムハマド・ユヌス氏が総裁を務めるバングラデシュの銀行で、ふつうの銀行が相手にしない貧者を相手に、少額のお金を貸して自立させる活動を行い、その功績によりノーベル平和賞を受賞している。「これこそがほんとうに世界を変える活動だ」と確信した著者は、ムハマド・ユヌス総裁に会うためにバングラデシュに向かう。そこで同国の教育事情を知り、ムハマド・ユヌス総裁の後ろ盾を得て始めたのが「ドラゴン桜プロジェクト」である。 バングラデシュでの映像授業はその後もめざましい成果を上げ、著者は、このプロジェクトをアフリカのルワンダ、中東のヨルダン、ガザなど世界の5大陸でも展開していく。その過程では、ワタミとの共同事業化の失敗、グラミン銀行の離反など数々の挫折も経験するが、そうした逆境こそイノベーションを生む土壌となることを教えている。
-
◎著者プロフィール
国際教育支援NPO「e-Education」代表。早稲田大学教育学部4年在学中。2009年、失恋と1冊の本『グラミン銀行を知っていますか』をきっかけにバングラデシュに渡り、19歳でグラミン銀行グループの研究ラボ初の日本人コーディネーターに就任。翌年、「e-Educationプロジェクト」を設立。その後独立し、バングラデシュの貧困地域の高校生を対象に、DVDを使った映像授業を展開。現在は「五大陸ドラゴン桜プロジェクト」をかかげ、バングラデシュ、ルワンダ、ヨルダン、ガザ地区などで活動している。