『LINEを生んだNAVERの企業哲学』 (イム・ウォンギ 著)
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■利用者2億人突破の人気サービスを生んだ韓国企業の戦略を分析
若年層を中心に爆発的な人気を獲得し、全世界の利用者数が2億人を超えるモバイル/PCによるコミュニケーションサービス「LINE」は、韓国トップシェアの検索ポータル「NAVER(ネイバー)」を手がけるNHNコーポレーションの日本法人「LINE株式会社(旧NHNジャパン、ネイバージャパン)」が運営している。本書は、LINE成功までの戦略と実行過程を辿りながら、韓国企業NHNの企業風土や経営哲学等を分析、紹介している。 2010年初頭、NHNのイ・ヘジン取締役会議長は強い危機感を抱いていた。モバイル分野で他社に後れをとっていたからだ。そこで、モバイル重視戦略を徹底し、2011年2月にメッセンジャーアプリ「ネイバートーク」をリリース。ところが利用者数は思うように伸びなかった。ネイバーのあらゆるサービスと連携させたことで、かえって「難しくて面倒」という印象をユーザーに与えてしまったのだ。
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■シンプルな機能と「可愛らしさ」を演出したことが成功の要因に
NHNの日本法人・ネイバージャパンは、苦戦していた日本市場に食い込むため、人気が出始めていたスマートフォンに目をつける。震災時に他社のメッセンジャーサービスが役に立ったこともきっかけになり、2011年6月に「LINE」の試用版をスタート。LINEはコミュニケーション機能に特化したシンプルさを特長とした。スマホの初心者、とくに20?30代の女性をターゲットに設定し、「スタンプ」などの仕掛けで可愛らしさを演出し大成功を収める。 LINEが成功した背景には、「迅速な意思決定」「プロ集団に任せきる体制」などのNHNの企業風土、経営哲学がある。NHNでは、"プロ集団"である「戦略委員会」における議論できわめてスピーディーな意思決定がなされる。LINEの開発・市場への投入に関しては、日本法人が本社から、現地のことをよく知るプロ集団として信頼されていたこと、そしてその戦略を素早い判断で承認したことが効を奏したのである。
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◎著者プロフィール
韓国経済新聞社記者。テウォン外国語高校、ソウル大学宗教学科卒業、同大学外交学科大学院修士課程修了。国民銀行、未来戦略研究院を経て、2002年に韓国経済新聞社に入社。証券部、IT部、政治部、産業部等を歴任し、NHNをはじめとするインターネット業界、ゲーム業界のさまざまな企業・人物を取材している。