『社会を変える仕事をしよう』 (佐野 章二 著)

『社会を変える仕事をしよう』  ‐ビッグイシュー 10年続けてわかった大事なこと

『社会を変える仕事をしよう』  (佐野 章二 著) 

著 者:佐野 章二
出版社:日本実業出版社
発 行: 2013/07
定 価: 1,500円


【目次】
 1.「誰かが困っている問題」を仕事で解決する方法
 2.普通の人にこそ、社会的企業は起こせる
 3.思い立ったら、すぐに組織はつくれる
 4.笑うマネジメント
 5.問題を解決するには、仕組みづくりから

  • ■「ビッグイシュー日本」の仕組み

     東日本大震災では多くの人がボランティアとして被災地に馳せ参じ、いまではボランティア活動に参加することは市民的な常識になりつつある。そして今後、社会の変化に既存の組織が対応しにくくなるにしたがって、社会問題の解決をはかるボランティア活動を、いかに仕事として成立させるかという視点も重要になるだろう。  本書では、"ホームレスをビジネスパートナーにする"事業に取り組み、社会問題をビジネスの手法で解決する「社会的企業」として有限会社ビッグイシュー日本を設立した著者が、ホームレス問題をどのように仕事にしていったのか、社会的企業の起業、組織、経営などについて述べている。その具体的な活動とは、ホームレスの人に雑誌販売の仕事を独占的に提供するもので、創刊から2013年3月末までに累計571万冊の雑誌を売り、販売者に8億円を超える収入を提供してきた。ホームレスの人たちが自立し、再び社会に復帰できるサポート事業を行っているのである。

  • ■誰もが社会起業家になれる時代

     社会的企業を起こすにはアイディアが勝負となる。そして、「そのアイディアにお金を出そうとする人を集められるかどうか」が、そのアイディアへの評価の基本になる。差別や憐れみの対象にされやすい「ホームレスの人をビジネスパートナーとする」というビッグイシューのアイディアには、みんな驚くと同時に好奇心を示した。その結果、1口5万円の市民パトロンが80人も集まり、立ち上げを支えたのである。  いま、社会の中で、失業、病気、障害、差別などによって、人や社会のつながりの関係からはじき出される人々が増えている。「社会的排除」と呼ばれる社会問題である。このように、いまの日本には問題が山積しながら、まだまだ活動は足りず、それに伴う仕事も不足している。このようなところに、市民やボランティアが関われるような場や機会をつくり、仕事として成立させられる人こそが社会起業家である。市民の誰もが社会起業家になれる時代になっているのだ。

  • ◎著者プロフィール

    1941年大阪生まれ。大学卒業後、都市計画プランナー等の仕事を経て独立。その後、日本各地のNPO支援センターの立ち上げ支援を行なう。2000年代からはビジネスによる社会問題の解決を提案。03年有限会社ビッグイシュー日本を設立、共同代表に就任し、『ビッグイシュー日本版』を創刊。07年、ビッグイシュー基金設立、理事長就任、後に認定NPO法人として認定される。10~11年には内閣府「新しい公共」円卓会議の委員も務めた。