『トンネラーの法則』 (ロム・ブラフマン 著/藤島 みさ子 訳)

『トンネラーの法則』

『トンネラーの法則』 (ロム・ブラフマン 著/藤島 みさ子 訳) 

著 者:ロム・ブラフマン
訳 者:藤島 みさ子
出版社:阪急コミュニケーションズ
発 行:2013/12
定 価:1,680円


【目次】
 1.「トンネラー」という存在
 2.スポットライトを自分に向ける
 3.困難に意味を見いだす
 4.揺るぎない決意をする
 5.トンネラーの気質と成功の関係
 6.苦難を和らげる「ユーモア」の力
 7.「サテライト」という存在の重要性
 8.学んだことを実行に移す力

  • ■人生の障壁をするりと通り抜ける「トンネラー」の3つの資質

     心理学の世界に、古典的な心理学で想定されていた障壁をものともせず、あり得ないはずの成功を達成する人々がいる。本書では、あたかもトンネルをくぐり抜けるかのように、人生の障壁をするりと通り抜ける、「トンネラー」とも言うべき人々に力を与えている根本的な心理的要因や特徴を分析している。
     トンネラーの資質は大きく3つに分類される。第1に、トンネラーは、人生に対する責任の取り方が大多数の人々とは異なっている。自分が置かれた境遇の中に意義や目的意識を見出して行動し、また、目標達成に向けてひたむきである。第2に、彼らは人生に行き詰まったり、ストレスで参ったりすることがない。ユーモアを使って、創造的なやり方で気力を高めたり、社会との絆を築いたりするのだ。最後に、トンネラーは他人の助けや支援を得ることに迷いがない。彼らの人生には、絶対的に信頼し、頼りにしている存在、無条件で彼らを愛してくれる存在が、少なくとも一人はいる。

  • ■困難な状況の中にも意味を見出す「トンネラー」

     イスラエル空軍パイロットのハーパーズ少佐は、エジプトの地上部隊に捕まり、戦争捕虜となった。彼は、いつになったら助けが来るのだろうと考える代わりに、この状況で自分の心をより良い状態にするには何ができるだろうと自分自身に問いかけ、独房の中で小さな8の字を描くようにして、毎夕6、7キロほど走ることにした。また、1から1000までの間の素数を見つけるというような頭を使う問題を考え出した。これは、置かれた状況に身を任せるのではなく、囚われの身で過ごす時間を肉体的、精神的成長の経験へと転換すべく行動した「トンネラー」の一例である。
     逆境に直面し乗り越えた人々と、それに屈した人々の違いを生む要素の1つは、困難きわまりない状況に置かれても人生に意味を見出すことのできる能力だ。トンネラーは逆境に置かれても、時にはごくありふれたものの中にさえ意味を探し求め、意義ある経験を生み出すのである。

  • ◎著者プロフィール

    心理学博士。大学でパーソナリティと人格発達について教えており、この分野で数々の賞を受賞。カリフォルニア州パロアルトで精神科の診療を行っている。オリ・ブラフマンとの共著『あなたはなぜ値札にダマされるのか?-不合理な意思決定にひそむスウェイの法則』(NHK出版)、『Click』(未邦訳)はともにニューヨーク・タイムズでベストセラー入りしている。