『起業家のように企業で働く』 (小杉 俊哉 著)

『起業家のように企業で働く』

『起業家のように企業で働く』 (小杉 俊哉 著) 

著 者:小杉 俊哉
出版社:クロスメディア・パブリッシング
発 行:2013/10
定 価:1,449円


【目次】
 1.志をもつ
 2.起業家のように仕事をするうえでやるべきこと
 3.大きな仕事は企業でこそできる
 4.転機をつくる
 5.企業内で勝っていくためのスキル

  • ■起業家のように自律し、自らの中長期ビジョンを作成すべき

     経営環境がめまぐるしく変化し、安定した雇用が当たり前とは言えなくなった現代、これまでのような、企業などの組織に依存した働き方は通用しなくなってきている。本書は、そんな時代に、企業のなかでどのように働くべきかをアドバイスするものである。
     現代におけるビジネスパーソンにもっとも必要なのは、起業家のように「自ら主体的に動ける」こと。自ら仕事をつくりだし、自分の責任において事を行う、つまり「自律」が重視されるのだ。そのためにはまず、自らが「こうなりたい」という中長期の目標=キャリア・ビジョンを持つこと。それをはっきりと意識することによって、日々何をすべきか、どのように時間を使うべきかが見えてくる。このように中長期のビジョンを意識しながら、それにつなげて目の前にある短期の仕事をすることをバイフォーカル(遠近両用)・アプローチという。これは多くの起業家が当然のように実践していることでもある。

  • ■自らの「強み」を増やし、それを組み合わせて持つ「オンリーワン戦略」を

     自分の働き方を見出すためには「スキルマトリックス」を作成してみるといい。スキルマトリックスは、スキルが「開発されているか」という軸と、スキルを「使うことが動機になるか」という軸により、スキルを4種類に分類するものだ。ここで「開発されていて使うことが動機になる」スキルを「強み」、逆に「開発されていなくて動機にもならない」スキルを「弱み」と呼ぶ。「開発されているけど動機にならない」のは、かつては興味を持って学んだが今は使っても楽しくないというスキル。これは使いつづけてもストレスが溜まるだけである。
     「開発されていないけど動機になる」スキルはどんどん使って「強み」に変えていくべき。そうやって「強み」を増やし、自分独自の組み合わせで持っていくことが、現代では最大の差別化になる。これを「オンリーワン戦略」という。この戦略をとることで、今ある強みだけで勝負する「スペシャリスト」を上回る仕事ができるはずだ。

  • ◎著者プロフィール

    慶應義塾大学SFC研究所上席所員。1958年生まれ。早稲田大学法学部卒業後、NEC入社。マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修士課程修了。マッキンゼー・アンド・カンパニー、ユニデン株式会社人事総務部長、アップルコンピュータ株式会社人事総務本部長を歴任後、独立。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科准教授を経て現職。THS経営組織研究所代表社員も兼務する。