『部長の資格』 (米田 巖 著)

『部長の資格』 ‐アセスメントから見たマネジメント能力の正体

『部長の資格』 (米田 巖 著) 

著 者: 米田 巖
出版社: 講談社(現代新書)
発 行: 2013/11
定 価: 798円


【目次】
 1.あなたの周りの困った部長
 2.部長の役割と必要な能力
 3.「できる」部長の落とし穴-10の常識と逆説
 4.「困った」部長から「できる」部長へ

  • ■マネジメント能力の不足は言動特性を改善開発することで確実に変えられる

     経済や産業の構造が激変し、企業は相次ぐ経営改革を迫られている。その中で部長の役割もまた、部の目標達成の管理統制者という従来の立場から、生産性の革新を目指した部内革新の責任者へと大きく変わっている。今や部長はかつてない厳しい人事評価に晒されており、それをクリアして生き残るには、マネジメント能力を高めるしか道はない。本書では、40年余にわたって経営コンサルティングに携わってきた著者が、経験から得た情報や仮説を取りまとめ、特に上級管理職の部長の仕事ぶりやさまざまな言動の特徴、そのマネジメント能力を開発する方法について解説している。
     マネジメント能力は言動特性によって測ることができる。言動特性とは、性格や資質とは異なるもの。性格や資質を変えるのは簡単ではないが、言動特性は開発することで確実に変えられる。つまり、困った部長の困った言動特性=何らかのマネジメント能力の不足は、開発できるし変えられるのである。

  • ■独善的な部長が開発によって民主的なチーム運営を志向するように

     ある大手医薬品製造会社の営業部長は、会社で実施された多面評価(周囲の仕事仲間からの評価)の結果を見て驚いた。自信のあったリーダーシップが弱みとなっていたからだ。この部長は仕事の成果は良いものの、独善的な面が強く、周囲と軋轢を生じることが珍しくなかった。
     これを改め、彼の強みを組織の中で活かすには、関連する能力、つまり相互交流が感じられるコミュニケーション力と、丁寧で根気強い説明責任能力の改善開発が必須だった。そのために九つの行動目標を立て、挑戦していくことに。毎月2回のコーチングで取組成果と課題を話し合い、その効果のほどは周囲からフィードバックを受ける。最初は周囲から怪訝な顔をされたものの、3ヵ月もすると開発効果を示すコメントが寄せられるようになり、最終的に2年間の能力開発を経た部長は、民主的なチーム運営を志向するまでに変わった。この結果、チームの活力は見違えるように高まったのである。

  • ◎著者プロフィール

    1941年山口県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。2001年株式会社アセスメント&コンサルティング・ネットワーク21を設立、代表に就任。現在の主なサービス領域は、19業界におよぶ上場企業管理職のヒューマン・アセスメント。特に、一部上場企業役員クラス対象のエグゼクティブ・アセスメント・コースを国内で初めて開発・提供しており、過去10年余で十数社に及ぶ。企業のほか政府機関、自治体等に対しての研修・講演なども多数行っている。