『「一体感」が会社を潰す』 ‐異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体(秋山 進 著)

『「一体感」が会社を潰す』 ‐異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体

『「一体感」が会社を潰す』 ‐異質と一流を排除する〈子ども病〉の正体(秋山 進 著) 

著 者:秋山 進
出版社:PHP研究所(PHPビジネス新書)
発 行:2014/03
定 価:840円(税別)


【目次】
1.「個人がコドモ?」の組織
2.「組織文化がコドモ?」の組織
3.「マネジメントがコドモ?」の組織
4.コドモの組織から大人の組織へ
5.コドモの組織で大人になる戦略
終.グローバル化と大人の組織

  • ■バブル崩壊後の企業の成長を阻害した「一体感」と「仲間意識」

    社長や上司の号令のもと、社員が一致団結して同じ行動をとることが高度成長期における日本企業の勝利の方程式だった。そのため、組織内では「一体感」や「仲間意識」を強めることが奨励されてきたのである。しかし、この「一体感」や「仲間意識」こそ、バブル崩壊後の企業の成長を阻害する要因となってきたのではないか。時代の変化に適応できていない人や組織が、いまだにかつての成功モデルにしがみつき、仲間うちの「一体感」を強めるべく、子どもっぽい思考や行動、そして組織のあり方を続けている状態を、著者は〈子ども病〉と呼び、この三つが複雑に絡みあって、日本の組織をコドモにしていると指摘する。
     本書では、この子ども病の症状を、「個人がコドモ」「組織文化がコドモ」「マネジメントがコドモ」の三つに大別し、その典型的症状を15パターンに分けて紹介。併せて、コドモの組織が大人になるための方策を提言している。

  • ■大人になる道は、個人の「自立」と「自律」

     ある経営者は、夜9時を過ぎたころに職場にフラッとやってきて「みんな、これから焼肉を食べに行こう」と部下を誘う。部下を気遣う気持ちからの誘いなら申し分ないが、この経営者の場合、自分への忠誠心を見るためで、どんなに仕事が忙しくても突然の食事会に馳せ参じる人が誰か、それを知るための誘いなのである。
     対立する意見が出ないよう、会議の前にあらかじめ意見を調整しておき、摩擦をうまく回避できる人が高い評価を受けるという〈事なかれ主義〉が社風となっているような組織も、組織文化がいかにもコドモであるといえる。こうした組織も、前述のトップのマネジメントがまるでコドモのような組織とともに、やがて沈むだろう。
     コドモの組織が大人の組織になるためには、まずは組織に属する一人ひとりが、大人にならなければいけない。そのための必須条件は、個人の「自立」そして「自律」である。

  • ◎著者プロフィール

    プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社代表取締役。京都大学卒業後、(株)リクルートを経て独立。経営・組織コンサルタントとして、各種業界トップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などに従事。主な著書に『それでも不祥事は起こる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『愛社精神ってなに?』(プレジデント社)など。