『世界で生きるチカラ』‐国際バカロレアが子どもを強くする(坪谷ニュウエル郁子 著)

『世界で生きるチカラ』‐国際バカロレアが子どもを強くする

『世界で生きるチカラ』‐国際バカロレアが子どもを強くする(坪谷ニュウエル郁子 著) 

著 者:坪谷ニュウエル郁子
出版社:ダイヤモンド社
発 行:2014/04
定 価:1,600円(税別)


【目次】
1.2018年、日本の教育が大きく変わる
2.本当の「世界で生きるチカラ」とは?
3.教育界の黒船「国際バカロレア」とは?
4.世論を動かせ! 子どもたちのために私たちができること

  • ■日本の教育に本格導入が計画されている国際バカロレアについて詳説

     現在、文部科学省は教育改革の一環として「国際バカロレア」の本格導入を計画している。その計画をサポートする著者による本書では、国際バカロレアの理念と具体的な中身等を詳説しながら、本当の意味でのグローバル人材とは何か、また、その育成のための教育はどうあるべきかが論じられている。
     国際バカロレアとは、スイスに本部を置く国際バカロレア機構が運営する世界共通の全人教育プログラム。思考力・表現力を重視して高い知的水準を達成すること、異文化に対する理解と尊重を通じて平和な世界創造に寄与できる、探究心旺盛かつ思いやりあふれる若者を育成することを目標としている。
     多くの日本人はグローバル人材とは「世界規模の競争に勝てる人材」と考えている。それに対し国際バカロレアが養成するのは「世界の人々の多様性を理解、尊重し、より平和な世界の創造に貢献できる人」であり、それこそが真のグローバル人材であると著者は考える。

  • ■一人ひとりの個性に目を向けるヨーロッパ型社会をめざすべき

     現在の日本人には「多様性」を受け入れる能力が不足していると指摘する人が多い。だが著者は、日本人は本来多様なものを受け入れる力を持っているはずと主張する。古来から日本人は「八百万の神」や、多様な自然環境、四季の移ろいに親しんできた。さらに第二次世界大戦後は多様なものを積極的に取り入れ、高度成長を成し遂げた。
     著者は、現代日本人の「多様性の欠如」は、戦後の日本がアメリカの価値観を輸入してきたことに一因があると主張する。アメリカは実は学歴社会であり、単一のモノサシで人を測り、そのことで格差が生まれている。一方、ヨーロッパには伝統的な職人文化があり、個々の多様なスキルや専門性が評価される。本当の多様性とは「一人ひとりの個性に目を向ける」ことから生まれる。したがって日本はヨーロッパ型の社会をめざすべき、というのだ。そしてそのための第一歩として、国際バカロレアの導入に期待を寄せている。

  • ◎著者プロフィール

    国際バカロレア機構アジア太平洋地区理事、東京インターナショナルスクール代表。イリノイ州立西イリノイ大学修了、早稲田大学卒。1985年「イングリッシュスタジオ(現・日本国際教育センター)」設立を経て、1995年東京インターナショナルスクールを設立、同校は国際バカロレアの認定校。その経験が評価され、2012年、国際バカロレア機構アジア太平洋地区の理事に就任。文部科学省とともに国際バカロレアの普及に取り組んでいる。