『インサイドボックス 究極の創造的思考法』(ドリュー・ボイド/ジェイコブ・ゴールデンバーグ 著)

『インサイドボックス 究極の創造的思考法』

『インサイドボックス 究極の創造的思考法』(ドリュー・ボイド/ジェイコブ・ゴールデンバーグ 著) 

著 者:ドリュー・ボイド/ジェイコブ・ゴールデンバーグ
訳 者:池村 千秋
出版社:文藝春秋
発 行:2014/05
定 価:1,750円(税別)


【目次】
序.創造性は誰もが習得できる技能だ
1.イノベーションは制約の中にこそ潜んでいる
2.引き算のテクニック
3.分割のテクニック
4.掛け算のテクニック
5.一石二鳥のテクニック
6.関数のテクニック
7.矛盾を見いだせ
8.人類の思考パターンを活用して変革を起こせ

  • ■五つの思考のヒナ型を使ったアイディア創出のテクニックを紹介

     独創的なものを生み出すプロセスは体系化したり、定石やパターンに落とし込むことはできない、という考えが常識のようになっている。斬新なアイディアを生みだす創造的な思考は一定の枠の“外”で行われるものと考えられがちだ。本書では、そうした“常識”に異を唱え、逆に一定の枠内(インサイドボックス)で思考することで、イノベーションの数を増やし、その質とスピードを高められると主張する。
     枠の外で考えると、思考が無秩序になる。しかし、使える材料や道具が限られていれば、あるものの中で知恵を働かせるしかない。限られた領域、制約の中で集中することで、思考の筋道を秩序立てることができるのだ。
     著者らが開発した「体系的創造思考法」は、「インサイドボックス」の考え方を前提とするものだ。本書では、その思考法の土台となる「引き算」「分割」「掛け算」「一石二鳥」「関数」という五つのテクニック(思考のヒナ型)を紹介している

  • ■重要なはずの要素を取り除く「引き算」のテクニックを使ったLCC

    「引き算」は、製品やプロセスの中から重要な要素を取り除くというテクニック。たとえば旅客航空サービスから機内サービスを「引き算」したのが格安航空会社(LCC)である。「分割」とは、既存の製品やサービス、プロセスの構成要素を分割し、一部を分離させること。テレビなどの電化製品のリモコンは、「操作機能」を本体から分離させるというアイディアから生まれた。
     「掛け算」は、従来のモノやサービスの一部の要素をコピーし、増やしたものに変更を加えるという方法。テレビのスクリーン上にもう一つの小さな画面を加えるなどのアイディアが典型的な「掛け算」だ。
     「一石二鳥」は、一つの製品やサービスに、二つ以上の一見無関係な要素をもたせること。日焼け止め効果のある保湿クリームなどが典型だ。「関数」は、無関係と思われていた複数の要素を連動させること。雨の強さに合わせて速度が変わる自動車のワイパーなどは「関数」を使っている。

  • ◎著者プロフィール

    ドリュー・ボイド:ジョンソン&ジョンソンで17年間イノベーションの現場を指揮。インサイドボックス思考法を、GEをはじめとする多種多様な企業で指導する。現在はシンシナティ大学の講師も務める。
    ジェイコブ・ゴールデンバーグ:IDCヘルズリヤ大学教授、コロンビア大学ビジネススクール客員教授。マーケティング学を専攻し、理論面でインサイドボックス思考法を構築。『ウォールストリート・ジャーナル』紙で世界を変える10人に選ばれた。