『どんな問題も「チーム」で解決するANAの口ぐせ』(ANAビジネスソリューション 著)
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■「おせっかい」でチーム全体の力を高める
ANAグループには社員一人ひとりが使う言葉=口ぐせがあり、コミュニケーションを活発にとり合う風土をつくっている。本書は、ANAの社員に受け継がれてきた「ANAの口ぐせ」と、その裏側にあるしかけを公開し、どうすればチームで成果を出す働き方ができるかを伝えている。
職場で「あの人のしていること、たぶん間違っているな」と気づくことがあっても、多くの人は「まあいいか」で済ませようとする。しかし、ANAの社員はどんな小さなことでも「放置」せず、できるだけ「その瞬間」に伝える。コックピットでも気づいたことがあれば、相手が立場的に上の機長でも声をかける。副操縦士から「管制官は高度4000フィートと言っていたと思います。もう一度確認しますね」などと声をかけるのである。これは、ANAの「おせっかい文化」の現れである。仕事を一緒にする仲間にも注意を払い、気づきがあれば口に出して言うことで、チーム全体としての力を高めることができるのだ。 -
■チェックは“セルフ”、「人を信じて任せる」のがANAの思想
ヒューマンエラーが絶対にあってはならないような作業に対して、一般的には「ダブルチェック」や「トリプルチェック」が行われる。一人ではなく、二人、三人と多重でチェックをすることで、見落としを防ごうとするものである。これに対して、ANAグループの整備部門では、作業をした整備担当者本人が確認作業も行う「セルフインスペクション」という原則をとっている。理由はシンプルで、本人で行うほうが「自分の仕事」という自覚が高まり、結果としてチェックの精度も高まると判断したからである。
「セルフインスペクション」には、「人を信じて任せる」というANAの思想が込められている。そのうえで、個人には「自ら責任をもってやり遂げなければならない」という責任感も求められる。チームで力を合わせるためには、個人個人の能力の向上と、それを基本としたお互いの信頼関係が重要だ。 -
◎著者プロフィール
ANAホールディングスの100%子会社。ANAグループのノウハウを活かし、主に「研修事業」「人材派遣事業」を行う。研修の内容は「接遇&ビジネスマナー」「ヒューマンエラー対策」「コミュニケーション」など。あらゆる業種、業態からの依頼を受け、企業・個人に向けた研修を行っている。社内でDNAの継承を大切にしており、研修はすべて、ANA社員として長年勤務してきた、あるいは現役で勤務する講師が務める。