『シニア起業家の挑戦』(鈴木 克也 編者)
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■高齢者による起業が増えている
超高齢社会のいま、高齢者にとって生きがいある「働き場」をつくり出す必要があるのではないか。しかし「雇われて働く」かぎり、高齢者にとって満足のいくような場がそう簡単に確保できないことも事実である。そこで本書では、高齢になって起業した人、若いときに起業しチャレンジを続けるベテラン起業家、さらには専門的な経験やノウハウを活かしてシニア起業を支援する人々などを紹介するとともに、シニア起業の課題を提示している。
高齢者が新規事業を開業するにあたっては、比較的小資本でできる、身近なコミュニティビジネスが適している。愛犬の散歩サービス、在宅介護メンタルサービス、高齢者向けITサポートサービスなどだ。高齢者がチャレンジする新しい分野として、農林水産分野も注目される。無農薬栽培へのチャレンジや有機農法の推進など、まさに時間とコストに制約の少ない高齢者の活躍の場ともいえるだろう。 -
■シニア起業成功の条件とは?
元気な高齢者による様々な形でのシニア起業があり、しかも彼らは活発に活動をしている。高齢者だからといって人に頼るというのではなく、自ら仕事をつくり出し、なおかつ、それらは日本が抱える社会的問題解決への第一歩にもなっている。そして何よりも、シニア起業は、最大の社会問題である高齢者の能力活用につながるものだ。
シニア起業成功の条件としては以下の点が挙げられる。
(1)事業目的の第一義を社会的な課題解決への貢献に置いている
(2)自分にしかできないことを自分らしいやり方で実践している
(3)無理をせず身の丈にあった取り組みをしている
(4)皆と一緒に事業を軌道にのせるべく「横のつながり」を重視している
(5)最終的には後継者へのバトンタッチのことも頭に描いている
高齢者だからといって狭い視野で起業したり、短期的な取り組みでは成功できない。ゆっくり構え、成り行きにまかせるという達観も必要なのである。 -
◎編者プロフィール
企業組合クリエイティブ・ユニット代表理事として、社会問題解決のために、研究会・セミナーを開催、出版活動等を行っている。出版活動としては、現在地域や社会で起こっている様々な問題に対して新しい視点から問題提起するとともに、各地での取り組みや先進的事例を紹介し、実践活動に役立ててもらおうとエコハ出版を設立。少部数オンデマンド出版という新しい方式を採用し、速いスピードでの出版を続けている。