『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』(籠屋 邦夫 著)

『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』

『スタンフォード・マッキンゼーで学んできた熟断思考』(籠屋 邦夫 著) 

著 者:籠屋 邦夫
出版社:クロスメディア・パブリッシング
発 行:2014/10
定 価:1,580円(税別)


【目次】
序.スタンフォードとマッキンゼーで学んできたこと
1.悩みや課題をリストアップし、全体観を把握する
2.フレームを設定する
3.選択肢を精査し、列挙する
4.不確実性を考慮する
5.価値判断尺度をはっきりさせる
6.基本3パーツを統合しての意思決定

  • ■じっくりと考え、質の高い意思決定をするための具体的方法論を紹介

     スピードと効率性が重要視される現代のビジネスでも、じっくりと問題に向き合い、時間をかけて結論を出さねばならない意思決定の場面は存在する。本書では、著者がスタンフォード大学とマッキンゼーでの学びをもとに編み出した質の高い意思決定のための「熟断思考」の方法論を、具体例を示しながら解説している。
     熟断思考では、「選択肢」「不確実要因」「価値判断尺度」の三つの基本部品を抽出、整理し、個々に分析したうえで統合していく。まず、「選択肢」を抽出するために、「いつ頃、どうなったら嬉しいか」をリストアップする。そしてそのリストをもとに「自分に何ができて、どうすればそれを実現できるか」という意思決定項目、実際に取りうる選択肢のアイデア出しを行う。単純な例でいえば、「今日のランチに何を食べるか」が意思決定項目だとすると、「カレーライスを食べる」というのが、実際に取りうる選択肢のアイデアということになる。

  • ■シナリオをシミュレートし実現確率や“起こったら嬉しい”度合いをもとに判断

     次に、リストをもとに頭に浮かぶ不安や自信、懸念、迷いなどを並べていく。これが「不確実要因」と「価値判断尺度」の抽出になる。そして、一つひとつの選択肢を採用した場合に、不確実要因によって起こりうる、「大成功」「中成功」「不成功」の三種のシナリオをシミュレートする。一方で「価値判断尺度」を「制約条件」と「トレードオフ条件」に分ける。
     基本3部品の精査が終われば、あとはロジックを使って最終結論を導き出すだけだ。そのために「ディシジョンツリー」を描く。これは、意思決定項目から選択肢が枝分かれし、その先に不確実要因が接続され、そこから複数のシナリオが分岐する図になる。
     ディシジョンツリーのそれぞれのシナリオに、実現確率と、“起こったら嬉しい”度合いで決めた点数を書き込む。これらの数字を掛け合わせたものが「期待値」である。最終的な決断は、この「期待値」とリスクを勘案しながら下すことになる。

  • ◎著者プロフィール

    ディシジョンマインド社代表。東京大学大学院化学工学科修了後、三菱化成(現三菱化学)入社。その後渡米し、スタンフォード大学大学院エンジニアリング・エコノミック・システムズ学科修了。マッキンゼー社東京事務所、シリコンバレーに本拠を置くSDG社、ATカーニー社ヴァイスプレジデントなどを経て、ディシジョンマインド社を設立。企業内教育研修の他、スタンフォード大学や国内の大学院においても講義を実施している。