『里山発電』 ‐地方の未来を変えるソーラーシェアリング(中村 鉄哉 著)

『里山発電』 ‐地方の未来を変えるソーラーシェアリング

『里山発電』 ‐地方の未来を変えるソーラーシェアリング(中村 鉄哉 著) 

著 者:中村 鉄哉
出版社:ダイヤモンド社
発 行:2014/10
定 価:1,500円(税別)


【目次】
序.白い山、ふたつの災害
1.里山に生まれて
2.今地方で何が起きているのか
3.ソーラーシェアリングのすべて
4.未来への展望と課題、そして期待

  • ■ソーラーシェアリングで中山間地域の暮らしを再生する

     「父祖伝来の地」を守りながらも、農業から十分なキャッシュフローを得られない人たちが大勢いる。ならば、畑にビニールハウスを設置し、その屋根にソーラーパネルを設置して、発電して収入を得ながら作物を作り続ければいいのではないか。本書は、そんなソーラーシェアリングによる「地方創生」の方策を示している。
     山口県防府市に、およそ2ヘクタールの段々畑に展開するソーラーシェアリング実験地がある。2013年3月、基礎的な土木工事を経てハウスが完成、6月には中国電力への送電を開始した。ここではどのような作物が育つかを見極めながら、放し飼いを織り交ぜた養鶏も行いつつ発電している。
     著者は、低利用の農地の上で太陽光発電を行うソーラーシェアリングによって、日本経済にマクロ的な、「革命」的な変化を起こし、もはや見捨てられたかのように見える中山間地域での農業や畜産業、つまり暮らしそのものを再生させ、持続させることを目指している。

  • ■新たなUターン、Iターンも生まれる

    里山に暮らしてきた人々にとっては、上で発電、下で耕作という土地の二重利用が実現することによって、今までを大きく上回るキャッシュフローが期待できる。それは、わずかな現金収入と年金、自家消費用の農作物だけを頼りに生きてきた人たちに革命をもたらし、弱者の立場を強者に逆転させるインパクトを持っている。
     また、地方に戻りたいと考えている地方出身者や、地方で農業に挑戦してみたいと考えている都市生活者にも新しい地平を拓くことになる。それらの人びとにとってネックになるのは収入を得られる方法が見つけにくいことだが、中山間地域の周辺にたくさんある耕作放棄地を安価に集め、あるいは借り上げて、ソーラーシェアリングを始めるのだ。
     新規就農は決して簡単なことではないが、現金収入が確保できるのならば、子育てやエコライフ志向などのさまざまな理由にも背中を押され、UターンやIターンが現実的な視野に入ることだろう。

  • ◎著者プロフィール

    株式会社ルネサンスエコファーム代表取締役社長。1959年山口県生まれ。1984年に北海道大学経済学部卒業後、三井物産株式会社に入社。2006年に三井物産を退社後、株式会社ルネサンス・プロジェクトの代表取締役社長に就任。地場に埋もれた焼酎などを発掘し、ブランドに育てる取り組みを行う。2010年「株式会社ルネサンスエコファーム」を設立。ソーラーシェアリング(R)による再生エネルギー事業を普及すべく全国を奔走中。