『アクティブシニアが日本を変える』(北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 編)

『アクティブシニアが日本を変える』

『アクティブシニアが日本を変える』(北九州市立男女共同参画センター・ムーブ 編) 

編 者:北九州市立男女共同参画センター・ムーブ
出版社:明石書店
発 行:2013/03
定 価:1,600円(税別)


【目次】
序.ジェンダーの視点から考えるアクティブシニアと超高齢社会
1.アメリカにおけるアクティブエイジング社会の形成
2.アメリカにおけるアクティブシニアの現状
3.ICTを活用したスマートエイジングシティの構築
4.アクティブシニアをサポートする科学とテクノロジー
5.花開くアクティブシニアマーケット
6.アクティブシニアと生涯学習
7.アクティブシニアが日本を変える

  • ■仕事にも趣味にも意欲的な「アクティブシニア」の登場

     これまで高齢者というと、健康面や経済面の不安などのマイナスイメージでとらえられがちだった。しかし今日、団塊の世代が高齢者になり、生涯現役志向が強く、仕事にも趣味にも積極的に行動する「アクティブシニア」が登場してきた。本書は、従来の高齢者像を変えるアクティブシニアに着目し、彼ら/彼女らの活動が日本社会の価値観やシステムにどのようなパラダイムシフトを起こすのかを検証し、今後の日本社会を展望している。
     海外旅行人数においても高齢者の増加が目立っている。2001年、海外出国者のうち20代が20.5%、60歳以上は15.3%だったが、2010年には20代は全体の16.2%に減少する一方、60代は20.0%にまで増えている。以前の常識では考えられない逆転現象が起きているのだ。ここ10年の間に海外旅行に限らず若者はますます内向きになり、消費もしなくなっている一方で、高齢者はますます元気にアクティブになっている。

  • ■日本発、超高齢社会のシステムモデルを構築しよう

     世界に先駆けて超高齢社会を迎えた日本は、そのシステムモデルを世界に対して示すことが求められている。そのためには、定年年齢を過ぎたら地域に戻り、ワーキングシェアによる新しい就労形態を作り、身心が弱った時には地域でケアが受けられる包括的なケアシステムが必要である。潜在的に日本人は仕事が好きで、労働の場から離れたら寂しいという感性を持っている。そのことからも、高齢者の地域就労の場作りが望まれる。
     公園で落ち葉拾いをしているお年寄りがいると、年を取ってまでそんなことをしなくてはならないのかと気の毒に思う人がいるが、落ち葉拾いをしている人は公園をきれいにしたいという思いで社会貢をしているのだと考えてみたらどうだろう。働く/活動する高齢者をどうみるか、我々一人ひとりの価値観を転換することができれば、日本社会は必ず変わることだろう。

  • ◎編者プロフィール

    1995年、男女共同参画社会の実現を目指す活動と情報発信の拠点施設として北九州市立女性センター(愛称:ムーブ)の名称で開所。2002年、「北九州市立男女共同参画センター」と改称。市民参画の下で、講座・講演会、企業等対象のセクシュアル・ハラスメント防止研修、若者対象のリプロダクティブ・ヘルス/ライツ出前講座、就労支援、市民活動支援・連携、各種相談、情報収集・発信など多様な事業を展開している。