『地方創生はアクティブシニアの ワープステイ【里山留学】からはじまる!』(NPO法人ワープステイ推進協議会 著)
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■地方の過疎化と高齢者の生きがいの喪失を解決する「ワープステイ」
戦後の都会を中心とした急速な高度成長の結果、地方では長年の過疎化のため休耕田の拡大や獣害の増加等により世界に誇るべき日本の自然、田畑、里山が荒廃している。一方、都会では団塊の世代のリタイアにより、生きがいの喪失が問題となっている。本書では、このような八方塞がりの時代に、「ワープステイ」という大胆な提案を行っている。
「ワープステイ」とは、住民票を移し、一定期間都会から地方という異空間に居住した後、もとの住居に戻ることをいう。いいかえれば、「里山留学」である。体力もある年金受給者が、ハードルの高い“永住”ではなく、元気な間、5年間でも地方に定住して農林漁業の手伝いをすれば、消費需要を喚起し、若者の仕事も増加してくる。又、ワープステイする本人も、おいしい水や空気のもと、規則正しい食事、適度な運動やコミュニティ活動をすることで、会社人間から地域コミュニティ人間へ脱皮でき、健康寿命も延び、将来の要介護率のダウンにもつながるのだ。 -
■ワープステイで効果を発揮する南伊豆町の「空き家バンク制度」
人口が減っていけば家屋は余り、余った家屋に人が入れば人口はまた元の数に戻っていく。南伊豆町が提案する「空き家バンク制度」は余っている家屋を移住者に貸す制度で、2011年に稼働し始めた。受け入れる側の準備が整い、さあ、これで多くの移住者がやって来るかというと、そんなに甘いものではない。実際に住んでみてから生じる問題もあるだろうし、そもそも住み始めのファースト・インプレッションが想像と異なる場合もある。また、夫婦で、移住に対しての感覚がマッチしておらず、方向性さえ決まってないこともある。
こういう場面で存在感を発揮するのが「ワープステイ」である。明確な考えがまとまらないまでも、とりあえずのゴーサインが出せるからだ。いわば、試食や試着のようなお試し感覚で期間限定の移住体験ができる。一定の期間が来たら終わらせることもできるし、引き続きロマンを追いかけることも選択できるのだ。 -
◎著者プロフィール
NPO法人ワープステイ推進協議会:アクティブシニアに対して彼らが一定期間、地方に定住「ワープステイ」し、高度成長時代に置き去りにされ危機に瀕している地方の資源、産業を復活させ、生きがいを持って地方の活性化に寄与し、水、空気、野菜のおいしいところで第二の青春を謳歌し、自分自身の若返りを目指すとともに、地方及び社会全体に寄与することを目的として活動している。