『弁護士ドットコム』-困っている人を救う僕たちの挑戦 (元榮 太一郎/上阪 徹 著)

『弁護士ドットコム』-困っている人を救う僕たちの挑戦

『弁護士ドットコム』-困っている人を救う僕たちの挑戦 (元榮 太一郎/上阪 徹 著) 

著 者:元榮 太一郎/上阪 徹
出版社:日経BP社
発 行:2015/01
定 価:1,400円(税別)


【目 次】
1.どうせなら、ブルーオーシャンを生きたい
2.幅広い経験が人間をつくる
3.創業したのに収入ゼロ!
4.読んで、仕掛けて、待つ
5.「掛け算」こそが人生だ
6.人の縁が会社を成長させる
7.弁護士の未来を一緒に考える

  • ■弁護士の存在を身近にするという“志”をもった人気サイトの挑戦を追う

     日本ではまだまだ一般市民の生活に溶け込んでいるとは言い難い「司法」「弁護士」の存在を身近にしようと2005年にスタートし、人気サイトに成長したのが「弁護士ドットコム」だ。弁護士紹介や法律Q&Aなどのサービスを提供する同サイトは、今や月間訪問者数700万人超、全国の弁護士の5人に一人が登録する。運営会社は2014年12月に東証マザーズ上場を果たした。本書では、創業者である元榮太一郎氏が、起業までの経緯、目的・理念とその実現について語っている。
     元榮氏は、大学生の時に交通事故を起こし、その時の保険会社との交渉時に弁護士に相談した。そのときに「弁護士とはこんなに人の役に立てるのか」と感心。それが後の弁護士ドットコム創業に結びつくことになる。司法試験に合格し、大手法律事務所に所属した元榮氏は、大学時代に自分が助けられたのと同様、多くの人に弁護士を身近に感じてもらいとの思いで独立、起業することにした。

  • ■困っている人への共感と弁護士業界への愛を忘れずに運営

     弁護士ドットコムの立ち上げ時に元榮氏が考えていたのは、ネットを介し依頼者に弁護士を紹介し、料金をもらうというビジネスモデルだった。しかし、弁護士法では、株式会社による有料の弁護士紹介は禁止されているのだ。悩んだ末、元榮氏はサービスを「無料」でスタートすることを決意する。そのため、開始からしばらくは収益ほぼゼロの苦しい状態が続いた。
     元榮氏は、そういう時ほど“志”が試されると考えた。同氏には弁護士と市民をつなげる場所は絶対に必要だという確信があった。それなら収益を上げる方法は後から考えればいい。踏ん張って続けていけば「弁護士を身近に」という気持ちが伝わるはずだ。
     また、すぐに収益を上げられるサービスならば、それは誰にでもできるモデルだ。逆に高いハードルがあれば競争優位になる。元榮氏は困っている人への共感と、自らも所属する弁護士業界への愛、その両方を忘れずに運営していくことを胸に刻んだ。

  • ◎著者プロフィール

    元榮 太一郎:弁護士ドットコム代表、弁護士法人法律事務所オーセンス代表。1975年米国イリノイ州生まれ、慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、1999年に司法試験合格。2001年にアンダーソン・毛利・友常法律事務所へ入所。2005年に独立。弁護士ドットコムとオーセンスを設立し、現在に至る。
    上阪 徹:フリーランスライター。1966年兵庫県生まれ。89年早稲田大学商学部卒。リクルート・グループなどを経て94年よりフリー。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに活躍。