『問いかける技術』‐確かな人間関係と優れた組織をつくる(エドガー・H・シャイン 著)

『問いかける技術』‐確かな人間関係と優れた組織をつくる

『問いかける技術』‐確かな人間関係と優れた組織をつくる(エドガー・H・シャイン 著) 

著 者:エドガー・H・シャイン
監訳者:金井 壽宏
訳 者:原賀 真紀子
出版社:英治出版
発 行:2014/12
定 価:1,700円(税別)


【目次】
はじめに 良好な人間関係と強い組織を築くために
1.謙虚に問いかける
2.実例に学ぶ「謙虚に問いかける」の実践
3.ほかの問いかけと「謙虚に問いかける」はどう違うのか
4.自分が動き、自分が話す文化
5.地位、肩書、役割
6.「謙虚に問いかける」を邪魔する力
7.謙虚に問いかける態度を育てる

  • ■「謙虚に問いかける」ことで信頼に基づく人間関係を構築する

     仕事をうまく進め、優れた組織をつくるのに良好な人間関係は欠かせない。本書では、経営学における組織心理学、組織開発の第一人者である著者が、信頼に基づく人間関係を築くために重要な「謙虚な問いかけ」について解説している。
     「謙虚に問いかける」とは、相手の警戒心を解きながら、自分では答えを見出せないことについて質問する技術だ。また、相手を理解したいという純粋な気持ちで関係を築くための流儀でもある。相手の考えを聞き、互いを尊重し合う気持ちがなければ、国籍や職業、経歴などが異なる相手を理解したり、一緒に仕事したりすることは難しいだろう。
     ビジネスの世界では、プレゼンスキルなどの「話す力」に重点が置かれがちだ。だが、知らなかったことや求めていた情報は、質問することではじめて手に入る。また質問相手は、自分に関心を示し、注意深く話を聞いてもらえたと感じる。こうした連鎖的な流れのなかでこそ互いに信頼関係が生まれていくのだ。

  • ■四種類の問いかけ方を意識したうえで適切な質問を心がける

     問いかけには、「謙虚な問いかけ」「診断的な問いかけ」「対決的な問いかけ」「プロセス指向の問いかけ」の四種類がある。
     「謙虚な問いかけ」では、相手が身構えずに話せるような雰囲気を心がけるべき。また、いくら関心がある振りをして質問を取り繕っても、本気で興味を持っているかどうかは自然と相手に伝わるものだ。
     「診断的な問いかけ」は、相手の思考プロセスをある方向に誘導し、その人自身による「気づき」を促すもの。「対決的な問いかけ」は、質問という形をとりながらも、自分の考えを差しはさむものを指す。
     「プロセス指向の問いかけ」は、会話の焦点を、話の中身ではなく会話そのものにシフトさせる聞き方だ。会話がぎこちなくなったり難航したりしたときには、「どうなさいましたか」「少々深入りしすぎたでしょうか」などとへりくだって問いかけると、会話が一度リセットされ、互いに何の目的で話し合っているかを再確認することができる。

  • ◎著者プロフィール

    マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院名誉教授。1928年生まれ。1956年よりMITスローン経営大学院で教鞭をとり1964年に組織心理学の教授に就任。組織文化、組織開発などに関するコンサルティングを行い、アップル、P&G、シンガポール経済開発庁など多数の企業・公的機関をクライアントとしてきた。『キャリア・アンカー』、『プロセス・コンサルテーション』、『人を助けるとはどういうことか』など著書多数。