『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(吉田 尚紀 著)
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■コミュニケーションを「ゲーム」と捉えてみよう
人とうまく話ができない“コミュ障”が増えているが、コミュニケーションが成立して共感したり笑い合ったり、ポジティブな感覚を得ることなしに人は楽になれないのではないか。本書は、ニッポン放送の人気アナウンサーである著者が、コミュニケーションの根本について、精神論ではなく技術として、そのメカニズムを明らかにしている。
コミュニケーションには明確な方法論がない。そこで著者は、コミュニケーションを「ゲーム」と捉えて技術的に考えた。
コミュニケーション・ゲームの特徴は、参加者全員による「協力プレー」である。誰かのせいで負けそうになっても、まわりの人が助けられる、相手が楽なら自分も楽だという一蓮托生のゲームなのだ。戦う敵は「気まずさ」で、お互いを守りながら気まずさを回避する。そして会話が終わったとき、テンションが上がっていれば勝ち。プレーヤー全員が元気になるポジティブな結果がコミュニケーションのゴールなのである。 -
■時間が繋がる会話は質問を重ねることで可能になる
コミュニケーションはふたり集まったら強制スタートするが、時間が繋がる会話をするにはどうすればいいのか? 質問すればいいのだ。「サッカーが大好きで」と単に話題を口にするのではなく、「サッカーはお好きですか?」と訊けばいい。たとえ「サッカーより野球のほうが好きで」という答えが返ってきても、そこからさらに質問を重ねられる。
話題とは質問であり、自分の話をするのではない。いきなり自分の話をはじめるのは、相手に対して「あなたにはニーズがない」と言っているようなものである。質問をするときに重要なのは、相手に興味を持つことである。目に見えるところから「そのシャツどこで買ったんですか?」と訊くところからはじめて、「最近、お忙しいんですか?」くらいまでなら十分行けるだろう。
ゲーム・プレーヤーの基本姿勢は、まず相手を観察すること。そこから今度は、興味をどう質問に換えていくか考えていけばいいのだ。 -
◎著者プロフィール
1975年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。ニッポン放送アナウンサー。2012年第49回ギャラクシー賞DJパーソナリティ賞。「マンガ大賞」発起人。株式会社トーンコネクト代表。ラジオ『ミュ~コミ十プラス』(ニッポン放送)、『ノイタミナラジオ』(フジテレビ)等のパーソナリティを務める。マンガ、アニメ、アイドル、デジタル関係に精通し、常に情報を発信し続けている。著書『ツイッターってラジオだ』(講談社)。