『農業女子』(伊藤 淳子 著)

『農業女子』‐女性×農業の新しいフィールド

『農業女子』(伊藤 淳子 著) 

著 者:伊藤 淳子
出版社:洋泉社
発 行:2015/04
定 価:1,500円(税別)


【目次】
1.女性×農業の新しいフィールド
2.農業女子のプロフィール
3.農業女子の素顔 -農業の資質-
4.女性が生み出す、農業の新スタイル
5.つながる農業 -農業女子入門-

  • ■「女子目線」が光っている農業女子の取り組みを紹介

     現在、農業従事者の約半数は女性で、女性がいる経営農家のほうが、販売金額が多い傾向にある。また、観光農園、農家民宿、輸出などの取り組みでも、女性の活躍が注目されている。本書は、農業を職業とする女性=農業女子たちへの取材を通して、農業女子が果敢にチャレンジしている様々な活動を紹介している。
     農業女子たちは、農業を自分たちの生活の課題としながらビジネスとしての活路を見出そうとしている。その取り組みには「女子目線」が光っていて、色や味などに特徴がある野菜を選んだり、栄養価が高い機能性野菜、地域の特産品となる新しい品種など、自分ならではの農作物を見つけて栽培しているのが特徴だ。とくに有機栽培や無農薬栽培は大変手間がかかるが、消費者が欲しいと思うもの、喜んでもらうものを作りたいと、覚悟を持って農業に取り組んでいるのが農業女子なのだ。

  • ■カラフルで安心な野菜作りに挑戦するめぐみ農園

     めぐみ農園の岡本尚子さんは、工務店に勤務していたときに、アトピーや喘息といった病気やシックハウスを知り、その解決方法は住宅の改善だけでなく、食べ物でも可能であると、自分が食べて安心な野菜作りを思いたつ。そして、会社を辞め、農家への農業研修を経て、兼業農家の畑を借りて「めぐみ農園」を立ち上げた。
     当初はトマトの専業を考えたが、季節野菜の必要性を感じ、少量多品種の野菜を、可能な限り減農薬で栽培している。色鮮やかな赤や黄色、白や紫のミニトマトをはじめ、オレンジや黄色、黒のニンジン、スイスチャードやアーティチョークなどの珍しい野菜はチャレンジの連続だが、「知って、食べて、喜んでもらいたい。食卓がカラフルになれば、会話が弾む」と言う岡本さん。食の重要さや楽しさを伝えようと、農業体験や収穫体験も行っており、色鮮やかな岡本さんの野菜を食べた子どもたちが、野菜が好きになったという嬉しい報告も後を絶たない。

  • ◎著者プロフィール

    A-Girl Creative代表。総務省地域情報化アドバイザー、農林水産省FACO(食農連携コーディネーター)などを務めている。神奈川県鎌倉市出身。雑誌編集者を経て、売れる商品作りや地域活性化、農商工連携、6次産業化、女性の起業・創業支援など、女性と地域のメディア開発を推進している。農林水産省「農業・食料・農村政策審議会」委員などを歴任。主な著書に『たなぼた主義』(ひつじ書房)など。