『グーグルのマインドフルネス革命』 (サンガ編集部 編著)
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■瞑想で「今ここ」に目を向ける「マインドフルネス」プログラム
「マインドフルネス」という瞑想を中心にしたトレーニングが注目を集めつつある。グーグル、インテル、ナイキなど名だたる企業が社員研修などに取り入れている。グーグルでは、2007年スタートのSIY(Search Inside Yourself)などのプログラムがあり、現在5,000人以上の社員が受講している。本書は、グーグルでこのプログラムを導入し、実践を指導するビル・ドウェイン氏へのインタビューをベースに、マインドフルネスの効用やメカニズムをわかりやすく解説している。
ドウェイン氏は、マインドフルネスを「意識のスポットライトを『今ここ』に当てること」であると説明する。私たちは過去のできごとに思いをめぐらすこともあれば、未来のことに考えを向かわせることもある。だが、マインドフルネスでは、そういった過去や未来への意識の流れをカットする。そして“今”の瞬間の自分の思考と感情を見つめる。 -
■「思いやり」が生まれ、人間関係のもつれがなくなり“共感”を育む
ドウェイン氏は、「思いやり」や「優しい気持ち」を育むということが、マインドフルネスの重要な効用であると説明する。たとえば自分では気づいていないことを誰かから指摘されたときにも、ムッとせず、優しい気持ちで受け入れられるようになる。こうした指摘は、たいてい自らの成長や、困難に打ち克つためのヒントになるものである。
マインドフルネスのおかげで組織のメンバーが皆、自己認識や自己制御ができ、思いやりをもっていれば、人間関係のもつれなどにエネルギーを費やす必要はなくなる。そうすれば本来の仕事に集中できる。
思いやりとは、他者の視点から物事を見られるということでもある。だから思いやりをもった人が一人でも増えれば、クライアントやパートナー、そして身近なコミュニティなどに対して共感をもって仕事をすることができるはずだ。その共感が有益なアイデアやクリエイティビティのもとにもなるのは間違いない。 -
◎著者プロフィール
宮城県仙台市に本社をもつ出版社、株式会社サンガの編集部。主に仏教に関連した書籍や、仏教のリアルを探す総合誌「サンガジャパン」を編集・発行。また、音楽ソフトやグッズ等を製作・発売するほか、瞑想会などを主催している。