『アクティブ リスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術』(谷本 有香 著)
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■相手の話に耳を傾けつつ、自らが会話をリードするアクティブ リスニング
「アクティブ リスニング」とは、元々人見知りで引っ込み思案な性格だった著者が、フリーランスのキャスターやコメンテーターとして生き抜くため、試行錯誤を繰り返して編み出した独自のコミュニケーション術である。いわゆる聞き上手に終わらず、相手の話にじっくり耳を傾けながらも、自らが会話をリードし、相手にとっても楽しく気づきの多いコミュニケーションを行うことで、次のチャンスやネットワークへとつなげるのが、「アクティブ リスニング」の極意だ。
そのために必要なのは、「準備」「本番」「フォロー」の3ステップ。まずは相手のバックグラウンドを事前に調べたり、相手の思考や行動パターンを想像したり、さらには自分の強みを意識したりといった準備をしっかり行う。準備の段階では、「目標確認」「情報収集」「質問づくり」の三つを忘れず意識すること。それらができて初めて、本番でのコミュニケーションがスムーズに進み、自分を上手にアピールすることができる。 -
■コミュニケーションの本番とともに、その後のフォローも重要
インタビューやビジネス会議などの本番を迎えたら、相手の好きな飲み物を用意するなど心を尽くして、まずは気持ちよく話してもらうこと。そして徐々に問答に移っていくのだが、準備した質問をすべて使おうとすると、話が散漫になりかねない。話のなかで心に浮かんだ素直な疑問をぶつけつつ、準備したものは半分も使えれば十分、という気持ちが大切だ。
相手が自分だけでどんどん話を進めるなど、話の展開がこちらの意図するものとずれてきた場合は、場面転換法を利用する。その際は、相手の話の腰を折らないよう、「お話をうかがっていて、ひとつ思い出したことがあります」「いまのお話に関連して……」など丁寧に、だが思い切って行うこと。
アクティブ リスニングでは、本番後のフォローも大切だ。別れ際には「もっとお話ししたかったです」と付け加える。そして、「今日のお話の簡単なレポートを作成してみます」などあえて自分に宿題を課せば、自然な形で相手にまた連絡をとることができる。 -
◎著者プロフィール
経済キャスター/ジャーナリスト/コメンテーター。大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢される。2年後、会社の自主廃業にともない、フリーランスキャスターに。Bloomberg TV、日経CNBCなどを経て、現在はフリーで国内外の著名人インタビューや、金融・経済セミナーのモデレーターをこなす。テレビ朝日『サンデースクランブル』ゲストコメンテーターとして不定期出演中。2015年4月から、日経CNBC『夜エクスプレス』アンカー。