『まちづくり学への招待』 (株式会社オオバ技術本部 著)

『まちづくり学への招待』  ‐どのようにして未来をつくっていくか

『まちづくり学への招待』 (株式会社オオバ技術本部 著) 

著 者:株式会社オオバ技術本部
出版社:東洋経済新報社
発 行:2015/05
定 価:1,800円(税別)


【目次】
1.まちづくりとは何か?
2.「まち」はどのように形成されてきたか?
3.まちづくりの仕事
4.まちづくりの未来

  • ■ハードとソフトを有機的に組み合わせた「まちづくり」の登場

     一言で「まちづくり」といっても、京都市のように伝統ある景観を守っていこうとする取り組みも、高齢者や障害者が暮らしやすい環境をつくることも「まちづくり」であり、その内容は実にさまざまである。本書では、建設コンサルタントである著者が、まちづくりの歴史・知識から、まちづくりにかかわる仕事の魅力について紹介している。
     近代以降の日本では、主に災害や戦災からの復興を通じて都市計画が発展してきた。しかし、現代の日本では、経済の発展や活性化を実現しながら、美しい景観や潤いのある生活を両立し、都市の魅力を高めることが求められている。そこで登場してきたのが、ハードとソフトを有機的に組み合わせた「まちづくり」である。ハードとは道路や公園などの公共空間や住宅の整備などで、ソフトとは教育、福祉といった生活環境の改善を指す。これからは、「福祉のまちづくり」「緑のまちづくり」など、さまざまな角度の魅力を持ったまちづくりが必要とされているのだ。

  • ■高齢化社会に対応する新しいまちづくり「コンパクトシティ」

     日本では、人口減少と少子高齢化が進み、とくに若年層の人口流出が多い地方都市では、都市機能を維持するためのサービスが提供できなくなる恐れがあり、高齢化社会に対応したまちづくりが急務となっている。
     そこで、国土交通省は2014年に、未来に向けての国土づくりの理念・考え方を「国土のグランドデザイン2050」として発表した。
     これは、人口減少に対応するため、行政や医療、福祉、商業など、生活に必要な各種機能を一定のエリアに集約化する「コンパクトシティ」という、新しいまちづくりの概念である。市街地の規模を小さく保って一定の密度を維持し、徒歩や自転車、公共交通の利用が重視される都市形態にするというものだ。ただし、市街地をコンパクト化するだけでは、限られた地域にマーケットが縮小してしまう懸念があるため、各地域をネットワーク化することで、人やモノ、情報の交流や出会いを促進するのである。

  • ◎著者プロフィール

    建設コンサルタント会社。「誠、積極進取、和」の社是の下に、長年の豊富な実績に基づいて、新しい技術と複合技術により、全国各地で多彩な業務に従事。安全で美しいまちづくり、既成市街地の再生、地球環境の保全、既存施設の更新・維持管理といったニーズを満たしつつ、まちづくりに貢献する技術者集団として「まちづくりのソリューション企業」を目指す。