『フューチャーセンターをつくろう』

『フューチャーセンターをつくろう』

『フューチャーセンターをつくろう』 

著者:野村 恭彦
出版社:プレジデント社
発行:2012/04
定価:1,680円


【目次】
 1.フューチャーセンターとは何か
 2.フューチャーセンターの思想
 3.フューチャーセンター・セッションを開く
 4.開かれた専用空間をつくる
 5.フューチャーセンターによる変革

  • ■対話により新しい「知」を創出する方法論

     変革やイノベーションのための新しい方法論として、企業や自治体、NPOなどの組織において「フューチャーセンター」が注目を集めつつある。フューチャーセンターは、北欧諸国において「知的資本」を生み出すための「場」として提唱され、その後欧州の公的機関に導入され、広まった。多様な専門家やステークホルダーが集まり、オープンに「対話」を行い協働することによって新しい「知の創出」をはかろうとするものである。日本では、不確実性の時代において、企業がイノベーションを生みだす、あるいは市民参加のまちづくりを考えるためのものとして関心を集めており、とくに東日本大震災後の新しい社会をどのようにつくっていくかを考えるうえでの有力な方法論の一つとして熱い視線が送られている。本書は、フューチャーセンターについて、その基本的な考え方から導入方法までを詳細に解説。「未来の価値を生み出す」場としての可能性を追究している。

  • ■創造的なファシリテーションの6つの原則

     たとえば「学校」は単なる施設の名前ではない。教育プログラムの提供という機能があり、学習という活動が行われる「概念」でもある。フューチャーセンターも同様である。創造的なワークショップのファシリテーションという機能を提供し、そこで対話やアイデア創出などの活動が行われるのがフューチャーセンターという概念である。  フューチャーセンターには6つの原則がある。すなわち「(1)想いを持った人にとっての大切な問いからすべてが始まる」「(2)新たな可能性を描くために、多様な人たちの知恵が一つの場に集まる」「(3)集まった人たちの関係性を大切にすることで、効果的に自発性を引き出す」「(4)共通経験やアクティブな学習により新たなよりよい実践が創発される」「(5)あらゆるものをプロトタイピング(試作)する」「(6)質の高い対話がこれからの方向性やステップ、アクションを明らかにする」というものである。

  • ◎著者プロフィール

    イノベーション・ファシリテーター。国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)主幹研究員、富士ゼロックスKDIシニアマネジャー、K.I.T.虎ノ門大学院客員教授。慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程修了後、富士ゼロックス入社。コーポレート戦略部にて事業変革ビジョンづくりに携わり、後に新規ナレッジ・サービス事業KDIを立ち上げる。「知識創造型組織づくり」の専門家として活躍中。