『情報をさばく技術』
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■大量の資料をどのようにさばいていくか?
本書は、ドサッと大量の資料が与えられた場合の対処法を「アナログ的な仕事術」としてまとめたものである。一つひとつの仕事をできる限り最短で終えるためのコツを体系化して説明している。
まず大切なのは、大量の情報に気持ちが飲み込まれてしまわないこと。落ち着いて取り組むためにはメンタル面の対応が必要となる。締切りがあり、結果が求められる作業をこなすことが求められたとき、プレッシャーの波におそわれる人は多いが、そのプレッシャーは自分自身の心理状況がつくりだした幻想である。圧倒的に多い資料は上手に使えばいいのだ。情報に飲まれるのではなく、情報を必要な部分だけ使うという「目的思考」の発想を持つことが重要である。
さらに、「自分の役割を認識する」「時間を設定する」「自分のハードルを下げる」など、ひとつひとつのステップを積み重ねることによって数年後にはいまの半分かそれ以下の時間で同じ仕事ができるようになっているはずである。 -
■仕事では常に最短距離をめざすべきである
多くの仕事を抱えて、大量の資料を読まなければならない場合、時間を有効に活用することが、スムーズな仕事処理のためには欠かせない。そこで求められるのが「必要な情報だけを素早く読む」技術である。
「素早く読む技術」のコツは第一に、資料を読む「目的」を明確にすることである。そしてその目的を達成するための「最小限の事項」だけを読み、目標が達成できたのであればそれ以外の情報には手を出さないという心構えを持つべきである。時間をかけることが「真面目、一所懸命」という発想は捨てよう。短時間で結果を出すためには「できるかぎりムダな時間は使わない」という、最短距離の意識を持つことが必要である。
資料が多くても、少なくても、仕事としてやる以上は、ほどよいスピードで、最短距離をめざすべきである。そのリズムをもっていることが、ほんとうに大変な仕事にぶつかったときにも自然と力を発揮できる土壌をつくってくれるであろう。 -
◎著者プロフィール
1974年横浜生まれ。弁護士。上智大学法学部卒。都内の鳥飼総合法律事務所に所属し、税務訴訟及び税務に関する法律問題を専門にする。青山学院大学法科大学院では「租税法演習」を担当(客員教授)し、上智大学法科大学院では「文章セミナー」の講師を担当している。2011年に『税務訴訟の法律実務』(弘文堂)で、第34回日税研究賞「奨励賞」を受賞。著書に『憲法がしゃべった。』(すばる舎)、『もっと論理的な文章を書く』(実務教育出版)などがある。